2023年版渡辺松男研究⑨(13年10月)
【からーん】『寒気氾濫』(1997年)33頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター 鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
70 父は酔いて帰りてゆけり寒々と罅われし樹のごとき銀河よ
(レポート)
作者の家に父が訪れ、酒食をともにした。日もすっかり暮れて、酔った父が自宅へ帰ろうとする。見送りながら戸外にでてみると、「寒々と罅われし樹のごとき銀河」が展かれている。「冷え冷え」ではなく、「寒々と」とあるから、季節は、初冬であろうか。星空だけが煌々と照り輝き、罅われた樹皮のような銀河に、まるで呑み込まれるかのように、父は帰っていったのである。 (鈴木)
(当日意見)
★「寒々と罅われし樹のごとき銀河」というのがお父さんの内面の比喩でもあるんで
しょうね。(鹿取)
★人間の体は宇宙っていうことがあるから、下の句はお父さんのことだと思っていま
した。(慧子)
★直接には「罅われし樹のごとき」は銀河を形容しています。でもその「罅われ」が
お父さんの精神の亀裂のようにも感じられます。まあ、戸外に出たとき見た景であ
っても、お父さんの精神の象徴であっても、結局は同じ事ですね。(鹿取)
【からーん】『寒気氾濫』(1997年)33頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター 鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
70 父は酔いて帰りてゆけり寒々と罅われし樹のごとき銀河よ
(レポート)
作者の家に父が訪れ、酒食をともにした。日もすっかり暮れて、酔った父が自宅へ帰ろうとする。見送りながら戸外にでてみると、「寒々と罅われし樹のごとき銀河」が展かれている。「冷え冷え」ではなく、「寒々と」とあるから、季節は、初冬であろうか。星空だけが煌々と照り輝き、罅われた樹皮のような銀河に、まるで呑み込まれるかのように、父は帰っていったのである。 (鈴木)
(当日意見)
★「寒々と罅われし樹のごとき銀河」というのがお父さんの内面の比喩でもあるんで
しょうね。(鹿取)
★人間の体は宇宙っていうことがあるから、下の句はお父さんのことだと思っていま
した。(慧子)
★直接には「罅われし樹のごとき」は銀河を形容しています。でもその「罅われ」が
お父さんの精神の亀裂のようにも感じられます。まあ、戸外に出たとき見た景であ
っても、お父さんの精神の象徴であっても、結局は同じ事ですね。(鹿取)