かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 23 アフリカ②

2023-07-12 14:56:09 | 短歌の鑑賞
 2023年度版馬場あき子の外国詠3(2007年12月実施)
    【阿弗利加 1サハラ】『青い夜のことば』(1999年刊)P159~
       参加者:N・I、Y・S、崎尾廣子、T・S、高村典子、藤本満須子、
          T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:藤本満須子 司会とまとめ:鹿取未放
 

23 汚れたる駱駝の粗毛なでたるがその背ゆり上げ伏すにあらずや

      (まとめ)
 結句の「あら」は動詞「あり」の未然形、「ず」は打ち消しの助動詞終止形、「や」は詠嘆の間投助詞だろう。「伏すではないか!」と駱駝の動きの一連に詠嘆しているのだ。粗毛がいかにも駱駝のごわごわとして汚れた毛の質感を伝えている。「その背ゆり上げ」もだるそうな、嫌そうな駱駝の気分や動きをよく捉えている。こわごわか、面白がってか作者は駱駝の毛を撫でてみたのだが、深いところで駱駝の拒絶を感じ取ったのだろう。糞ころがしから、大きな駱駝への視線の転換も面白い。(鹿取)


    (レポート抄)
 人間の生活の手段として飼育され使われている駱駝、駱駝と作者との距離、ひいては沙漠への恐れをうたっているようにも感じる。(藤本)

コメント
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