かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 29 アフリカ②

2023-07-19 17:17:39 | 短歌の鑑賞
 2023年度版馬場あき子の外国詠3(2007年12月実施)
    【阿弗利加 1サハラ】『青い夜のことば』(1999年刊)P159~
      参加者:N・I、Y・S、崎尾廣子、T・S、高村典子、藤本満須子、
          T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:藤本満須子 司会とまとめ:鹿取未放
 

29 サハラ砂漠に風紋をなす音きこゆ天の目のごと大き星星

         (まとめ)
 刻一刻と変化する美しい風紋は風によって起こる。その風はどんな音で吹いているのであろうか。ごうごうと音を立てるほど大きいのか、かすかなのか、荒々しいのか?ともあれ、風とともにうたわれる風紋は、荒蕪としか感じられなかった広大な砂漠が、どこまでも美しい風紋をともなったイメージとして現れ、ぐっと優しい姿になる。空を見上げると瞬く星星は天の目であるかのように大きい。天の目は怖いようでもあり、優しく見守っているようでもあるい。それら荒涼とした砂漠のイメージから人間的なぬくもりへと風景が一変したかのように見えるのは、一日のみでここを去らねばならない作者の愛惜の反映かもしれない。(鹿取)
 
コメント
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