2023年版渡辺松男研究⑨(13年10月)
【からーん】『寒気氾濫』(1997年)33頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター 鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
68 銀ねずの鱗をはがしあうごとくビルのうちにいてぶつかりあえり
(レポート)
ぶつかりあうことの形容として、「銀ねずの鱗をはがしあうごとく」という比喩が登場する。魚同士が激しく闘争しぶつかりあって、体表の鱗を傷つけあう様が浮かんでくる。ひりひりとした銀ねず色の痛みが感じられる。ぶつかりあっているのは、ビルの中で働く作者の属する組織の面面だろうか。無機質の閉ざされたビルの中で日がな暮らしていると、水槽の魚たちのように息苦しくなり、ささいなことで衝突する。ここで「ぶつかりあう」は、もっぱら仕事を通しての、人と人との軋轢のことだろう。
(後日意見)
★鱗が剥がれたらやっぱり魚は痛いのでしょうね。職場でのぴりぴりした軋轢のたとえ
を銀ねずの鱗という薄くて光るものにたくして、苦しいけれど、なにかちょっと昇華
された感じもする。(鹿取)
【からーん】『寒気氾濫』(1997年)33頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター 鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
68 銀ねずの鱗をはがしあうごとくビルのうちにいてぶつかりあえり
(レポート)
ぶつかりあうことの形容として、「銀ねずの鱗をはがしあうごとく」という比喩が登場する。魚同士が激しく闘争しぶつかりあって、体表の鱗を傷つけあう様が浮かんでくる。ひりひりとした銀ねず色の痛みが感じられる。ぶつかりあっているのは、ビルの中で働く作者の属する組織の面面だろうか。無機質の閉ざされたビルの中で日がな暮らしていると、水槽の魚たちのように息苦しくなり、ささいなことで衝突する。ここで「ぶつかりあう」は、もっぱら仕事を通しての、人と人との軋轢のことだろう。
(後日意見)
★鱗が剥がれたらやっぱり魚は痛いのでしょうね。職場でのぴりぴりした軋轢のたとえ
を銀ねずの鱗という薄くて光るものにたくして、苦しいけれど、なにかちょっと昇華
された感じもする。(鹿取)