2024年度版 渡辺松男研究40(2016年7月)
『寒気氾濫』(1997年)
【明快なる樹々】P136~
参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
333 登るほど空青くなる八月の何かを決意したき山道
(レポート)
澄んだ空気と清々しい青空をみながら八月の山道を登っていると、自然と心に活力がわいてきて、何かを決意したくなるという心情はとても共感できる。大気の関係か、あるいは登るほどに作者の身体の血行がよくなり、精神もストレスから解放され、気が晴れやかになり、視界良好になるため「登るほど」に「空青くなる」のだろう。(真帆)
(当日意見)
★真っ青な空を見ていると誰でも何かやってみたいと思いますね。(曽我)
★何もしないで青い空を見ていたら怖くなる時がありますね。でも、これは登るという
行為をしているので前向きになっていて怖くない。(慧子)
334 バス揺れるたびにあなたの肩が触れ信濃は雷雨直後の青空
(レポート)
バスが揺れるたびに「あなた」の肩が触れるという。作者はそれを嬉しいとも悲しいとも言っていないが、バス揺れる、たびに、あなたの、肩が触れ、という上の句の弾んだ調子に、心躍りしている心境が表れている。結句も「青空」と明るい気分で浮きそうな所を、「雷雨直後」という漢語で引き締められている。また、〈雷雨のあと〉とせず「雷雨直後」とごつごつさせた所で、作者は男性で「あなた」は女性だということを感じさせているようだ。(真帆)
(当日意見)
★実際に雷雨が走ったのかもしれないけれど、あなたの肩が触れる度に自分に電撃が
奔って、それで雷雨を入れたのかなと。(慧子)
★この信頼感とか嬉しさの感じからすると、電撃が奔るような時期は通り越してもう少
し安定した関係かなという気がします。329番歌「レタスの葉こころの襞を一葉ず
つ洗いて盛りて君とのランチ」などから続いている気分でしょう。だからレタスを剥
く「君」とバスで肩が触れる「あなた」は同 じ人という設定でしょうね。この次に
は「汝」と巨峰を食べる歌が出てきますね。(鹿取)
『寒気氾濫』(1997年)
【明快なる樹々】P136~
参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
333 登るほど空青くなる八月の何かを決意したき山道
(レポート)
澄んだ空気と清々しい青空をみながら八月の山道を登っていると、自然と心に活力がわいてきて、何かを決意したくなるという心情はとても共感できる。大気の関係か、あるいは登るほどに作者の身体の血行がよくなり、精神もストレスから解放され、気が晴れやかになり、視界良好になるため「登るほど」に「空青くなる」のだろう。(真帆)
(当日意見)
★真っ青な空を見ていると誰でも何かやってみたいと思いますね。(曽我)
★何もしないで青い空を見ていたら怖くなる時がありますね。でも、これは登るという
行為をしているので前向きになっていて怖くない。(慧子)
334 バス揺れるたびにあなたの肩が触れ信濃は雷雨直後の青空
(レポート)
バスが揺れるたびに「あなた」の肩が触れるという。作者はそれを嬉しいとも悲しいとも言っていないが、バス揺れる、たびに、あなたの、肩が触れ、という上の句の弾んだ調子に、心躍りしている心境が表れている。結句も「青空」と明るい気分で浮きそうな所を、「雷雨直後」という漢語で引き締められている。また、〈雷雨のあと〉とせず「雷雨直後」とごつごつさせた所で、作者は男性で「あなた」は女性だということを感じさせているようだ。(真帆)
(当日意見)
★実際に雷雨が走ったのかもしれないけれど、あなたの肩が触れる度に自分に電撃が
奔って、それで雷雨を入れたのかなと。(慧子)
★この信頼感とか嬉しさの感じからすると、電撃が奔るような時期は通り越してもう少
し安定した関係かなという気がします。329番歌「レタスの葉こころの襞を一葉ず
つ洗いて盛りて君とのランチ」などから続いている気分でしょう。だからレタスを剥
く「君」とバスで肩が触れる「あなた」は同 じ人という設定でしょうね。この次に
は「汝」と巨峰を食べる歌が出てきますね。(鹿取)