かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 335

2024-10-27 09:25:20 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 渡辺松男研究40(2016年7月)
    『寒気氾濫』(1997年)
    【明快なる樹々】P136~
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取 未放


335 ああ秋は汝とまむかい食べてみる巨峰の一粒ずつの完熟

     (当日意見)
★秋の豊かな気分を、完熟した巨峰に代表させている。そこに恋の気分も重ねられてい
 るのだろう。「バス揺れるたびにあなたの肩が触れ信濃は雷雨直後の青空」の続きに置
 かれているので、恋人と向 かい合って巨峰を食べていると素直に解釈していいと思
 う。(鹿取)


      (レポート)
 心豊かな楽しい一首だと思う。作者の秋の習いとして、実を完熟させた巨峰の木の労をねぎらい、また甘さに結実させた作品を吟味鑑賞するようにし、巨峰の一粒一粒にまむかうのだろう。汝は巨峰の実だ。(真帆)
コメント
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