かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 346

2024-11-13 10:05:00 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 渡辺松男研究41(2016年8月実施)
    『寒気氾濫』(1997年)【明快なる樹々】P139
     参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部 慧子    司会と記録:鹿取 未放


346 逆光の湖につぎつぎ白鳥の降りたちてきてひかりにかわる

     (当日意見)
★以前に「秋桜の逆光の路」の歌を鑑賞したが、あれと同じで、白鳥が光輝いている湖
 と一体になって光になる。(真帆)
★逆光の中を黒っぽく見えながら降りてきて、日溜まりに降りてくると白く見える。
  (M・S)
★ただ逆光だというだけだと白鳥である必然性がないと思うのですが、ここは対象が白
 鳥であることが大切です。白い色と、やはり白鳥という鳥に清らかさとか神々しいも
 のを見ているんだと思います。それが次の歌「日のなかにまどろみていし白鳥が羽ば
 たくときに日をはじきたり」 に繋がっているのでしょう。(鹿取)


     (後日意見)
 泉発言の「秋桜の逆光の路」の歌の全体は「秋桜の逆光の路へ行くひとよまぶしき路はにんげんを消す」。『寒気氾濫』の「垂直の金」の一連にある。
 また、この前後の歌をもっと突き詰めていくと『泡宇宙の蛙』(1999年刊)の【白鳥】の中の名歌「白鳥はふっくらと陽にふくらみぬ ありがとういつも見えないあなた」に行き着くと思うが、その点は次の347番歌(日のなかにまどろみていし白鳥が羽ばたくときに日をはじきたり)で解説する。 (鹿取)

コメント
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