2025年度版 馬場あき子の外国詠49(2012年2月実施)
【ロイス川の辺りで】『太鼓の空間』(2008年刊)176頁
参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、曽我亮子、
藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放
353 漂鳥はここに住みつき声あぐる栃の花蔭に椅子あれば座す
(当日意見)
★人間のありようと鳥のありようの二つの違い。(慧子)
★「漂鳥」とは「一地方の中で越冬地と繁殖地とを異にし、季節により小規模の移動をする渡り鳥。夏には山に近い林にすみ、冬は人里近くに移るウグイスのほか、ムクドリ・メジロなど。」と広辞苑にあります。鳥の名を言っていないのはあまり馴染みのない鳥か。もしくはウグイスなどのように分かりすぎて、ある情趣がまとわりついてしまうのを避けるためわざと言わなかったのか。あるいは漂う鳥というイメージを大切にしたかったのか。次に白鳥の歌がありますが、白鳥は通常長い距離を移動するので「漂鳥」ではないように思う。ここでは、その「漂鳥」を栃の花蔭の椅子に腰掛けてしばらく眺め、鳴き声に耳を傾けていたい気分なのだ。(鹿取)
354 白鳥の貌つくづくみればおぢいさんいぢわる教師あり大方はをとめ
(当日意見)
★じっくり眺めるとおじいさん貌の白鳥や意地悪な教師貌の白鳥もいるという発見が面白い。しかし「大方はをとめ」と収めたところがいい。大部分の白鳥はおとめのような可憐さなのだ。(鹿取)