かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 26

2023-04-15 11:51:34 | 短歌の鑑賞
    2023年度版 渡辺松男研究4【地下に還せり】
      (13年4月実施)
      『寒気氾濫』(1997年)12~
       参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、鹿取未放
       司会と記録:鹿取 未放(再構成版)


26 わが死後も膨らみてゆく樹の瘤を冬の日射しが暖めている

     (当日意見)
★評者が樹の瘤をマイナスと捉えたのが面白い。樹の瘤って樹に
 とってはどうなんだろうね。必ずしもプラスのものではない。
 まあ、樹の個性のような気がする。ニーチェもそうだけど人間
 も瘤のようなものを抱えていて、それは傷だ。その傷を日差し
 が暖めているのはすごい。(鈴木)
★私は樹の瘤をマイナスイメージとは思いません。まあ瘤取りじ
 いさんとかあるから瘤はプラスのものではないだろうけど、樹
 にとってはどうなのかなあ。樹の瘤は松男さんにとってマイナ
 スでもプラスでもない樹の属性のようなものだと思うけど。そ
 の樹の瘤をひっくるめて、作者はその木を愛している。(鹿取)
★でもマイナスから上に行くと開きが大きい。その力強さは傷か
 ら成長していくところが命の力強さを感じる。鹿取さんのよう
 に普通の読み方もできるが、マイナスと読んだ方が渡辺さんの
 歌にとっては良いのではないか。(鈴木)


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