かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 27

2023-04-16 10:23:40 | 短歌の鑑賞
    2023年度版 渡辺松男研究4【地下に還せり】
      (13年4月実施)
      『寒気氾濫』(1997年)12~
       参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、鹿取未放
       司会と記録:鹿取 未放(再構成版)


27 冬銀河げに冴えざえと風のあと敗者勝者はどこにもあらぬ

    (当日意見)
★敗者勝者ということで、こういうものを超越してますます銀河が
 冴えて浮かぶ。(崎尾)
★大風の吹いた後、空気が冴え渡って、冬の銀河が綺麗に見えるの
 ですね。そういう雄大なスケールの元では、このちっぽけな世界
 の敗者や勝者なんって無になってしまう。どこで読んだか忘れた
 けど、最近松男さんが出世なんて簡単なことはさっさとせよ、と
 いう意味の歌をうたっていて、そういう立ち位置なのねと感慨を
 受けたけど、この歌の下の句はすかっとする。(鹿取)
★力への意志で、ニーチェもそんなことを言っている。力への意志
 はひたすら増大することを目指し、そこに主体性や目的はないと
 言っている。だからここの風も誰が誰をということがない。
    (鈴木)

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