かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 108、109 スペイン⑤

2024-10-07 17:44:37 | 短歌の鑑賞
   2024年度版 馬場あき子の外国詠12(2008年10月)
       【西班牙3オリーブ】『青い夜のことば』(1999年刊)P61~
       参加者:F・I、N・I、T・K、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、
           T・H、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:N・I まとめ:鹿取未放


108 ギロチンのやうな包丁に肉切るはわが未来記の中なる女

     (まとめ)
 ギロチンの刃物は時代によっても違うのだろうが、写真などで見ると人間の幅ほどもありそうな大きさだ。街角で見た光景か、日頃作者が使っている包丁とは格段に大きな包丁を使って、おそらく塊の肉を切っている逞しいスペインの女性、そんなイメージが浮かぶ。上の句の原初的なイメージが、私の中では「未来記」と結びつきにくい。(鹿取)


109 青黴のチーズ冷えゐる西班牙の食卓に葡萄の季節近づく

       (レポート)
 匂いのきつい味の濃いチーズは通人の好むところ、おいしいワインと共に秋の稔りの豊かさを葡萄であらわしているのでしょう。(N・I)


      (まとめ)
 青黴のチーズは独特の強い香りを持ち、濃厚でやや塩味が効いたものが多いらしい。食べ方はクラッカーに乗せたり、スープに入れたり、サラダにしたりといろいろであるが、果物と組み合わせて食べるのも一つの方法らしい。ここはおいしく冷えたチーズが出された夏の食卓、共に食べる葡萄の収穫が待たれている。季節感がうまく詠み込まれていて豊かな気分の歌だ。(鹿取)

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