かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  370

2021-12-07 17:26:36 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究44(2016年12月実施)『寒気氾濫』(1997年)
    【半眼】P148~
     参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部 慧子    司会と記録:鹿取 未放


370 悲しみは深すぎるときしずかにて風なかの樹の揺れぬ一本

    (レポート)
 「風なかの樹の揺れぬ一本」は作者の内面にある樹なのだろう。作者はいい樹をこころに持っていて、平素はそよいだり、半眼になったり、泣きくずれそうになったりしていよう。しかしながら、悲しみが深すぎると、受け入れるまでの時間が必要だろう。ある一瞬をスローモーションにて捉えたようにも思う。(慧子)
 

   (当日意見)
★ざわめいている樹の中で一本だけ揺れない樹を見た時に、その悲しみは深すぎるほど静かな
 んだと思ったと思います。先に光景を見ていると。(M・S)
★私はレポーターと違って、悲しみが深すぎて動くことさえできない無力な状態と取りました。
 風の中で動かない樹を見て自分の気持ちを投影していると思いました。(真帆)
★私は書いてあるとおりに読もうとしているので、樹の歌は樹の歌として読みました。揺れな
い一本を見て悲しみは深すぎると静かなんだなあ、あの樹もそれで揺れていないんだと〈わ れ〉
が見ている。(鹿取)

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