2025年度版 渡辺松男研究47(2017年3月実施)
『寒気氾濫』(1997年)【睫はうごく】P157
参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、
A・Y、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
395 ふわっとなる一瞬がありつぎつぎと緋の梢から離れゆくなり
(レポート)
「緋の梢」とは紅葉した梢のことだろうか。そこから紅葉がつぎつぎに散ってゆく様子を詠んでいるが、タイミングとして「ふわっとなる一瞬」があって、それが合図のように紅葉がつぎつぎに散っていく。あるいはこの歌も前の歌(撓うときあらわなるきみのむねのほね吾(あ)はやわらかに鳴らしてみたし)に続く心象風景かもしれない。(鈴木)
(当日発言)
★愛が醒めていくときの事ですか?(M・S)
★いや、一瞬だから……394番歌(撓うときあらわなるきみのむねのほね吾(あ)はやわらかに鳴らしてみたし)に続く性愛の歌なのでしょう。「ふわっとなる一瞬」って男性の感覚なのでしょう。その時、緋色の花が梢からつぎつぎと離れてゆくイメージが浮かんだ。あるいは、自分が次々に飛んで行く花になっている感覚なのかな。まあ、花とは書いていないから、葉っぱかもしれないけど。女性の感覚としてはとてもよく分かるのですが、男性でもこういう感覚になるのか、というのが面白い。緋色であることがポイントですね。(鹿取)
★1首だけ読むと解釈が難しいですね。性愛の歌かも知れないし、次は実景の歌(耳ぞこに紅葉のごとくひろがりぬうらわかき日のははの呼ぶ声)だから。(A・Y)
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