ブログ版清見糺の秀歌鑑賞 12 ジンベイザメ 鎌倉なぎさの会 報告 鹿取未放
90 非常口が廊下のかなたにぼんやりとひかる不幸をたしかめて寝る
「かりん」96年4月号
気持ちのいい居酒屋の歌とこの歌が「かりん」では並んで出ている。難波に泊まった夜のことであろうか。旅行者の誰もがするように非常口の位置を確かめて眠りにつこうとするのだが、何かそこはかとない不安感が襲う。それは先行きに希望がもてない恋を憂えているのかもしれないし、そういう恋に倦み、自分自身にも嫌気がさしているのかもしれない。あるいはもっと漠然とした人生に対する不安感かもしれないし、かなたに待ち受ける〈死〉を恐れているのかもしれない。廊下のかなたに、ぼんやりとしかしいつもみどりに光っている非常口が薄気味悪いものへの入り口のようにリアルに迫ってくる。(鹿取)
「戦争が廊下の奥に立つてゐた」(渡辺百泉)
90 非常口が廊下のかなたにぼんやりとひかる不幸をたしかめて寝る
「かりん」96年4月号
気持ちのいい居酒屋の歌とこの歌が「かりん」では並んで出ている。難波に泊まった夜のことであろうか。旅行者の誰もがするように非常口の位置を確かめて眠りにつこうとするのだが、何かそこはかとない不安感が襲う。それは先行きに希望がもてない恋を憂えているのかもしれないし、そういう恋に倦み、自分自身にも嫌気がさしているのかもしれない。あるいはもっと漠然とした人生に対する不安感かもしれないし、かなたに待ち受ける〈死〉を恐れているのかもしれない。廊下のかなたに、ぼんやりとしかしいつもみどりに光っている非常口が薄気味悪いものへの入り口のようにリアルに迫ってくる。(鹿取)
「戦争が廊下の奥に立つてゐた」(渡辺百泉)
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