かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 227

2024-03-27 13:56:39 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究28(15年6月実施)
   【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)97頁~
   参加者:S・I、泉真帆、M・K、崎尾廣子、M・S、鈴木良明、
       曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:曽我 亮子 司会と記録:鹿取 未放


227 汗かけば別のまぶしき宇宙見え陰陽石が突っ立っている
   
        (当日意見)
★ネットで調べると、男の性器と女の性器が対で祀ってある、そういうのを陰陽石
 (いんようせき)というそうです。自然の営みの中にそういう陰と陽が存在してい
 る。(鈴木)
★私は「汗かけば」は226の歌(汗ばむということ秘密めきていて春霞する谷(や
 と)を行くなり)の続きで読めると思います。谷を行きながら汗をかくと昂揚してま
 ぶしい別の宇宙が見えてくる。そのまぶしい宇宙には陰陽石が突っ立っている。きっ
 と陰陽石もきらきら輝いているのでしょうね。作者にはそれがありありと見えている
 のでしょうね。まあ、現実に突っ立っていてもいいとは思いますが。(鹿取)
★性愛のことを詠っているとは思いますが、スポーツをして汗をかくと別人になったよ
 うな気分がする。そんな感じかな、上句のすばらしさを思いました。(慧子)
★言葉の取り合わせがとてもおもしろい。宇宙ということば、陰陽石という言葉など。
 陰陽石は神社の裏手などで見たことがありますが、子孫繁栄とかを願っているんです
 ね。おもしろい歌だと思います。(S・I)
★先ほど慧子さんがおっしゃったのを聞いて、スポーツによる別世界というのがすとー
 んと胸に落ちました。陰陽石は男性女性問わず生々しい生き物のようなぎょっとする
 感じがします。汗をかくと、この世とは別にある生々しい石の宇宙が見えてくるので
 はないでしょうか。(真帆)

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