かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 95 スペイン④

2024-09-17 08:37:45 | 短歌の鑑賞
2024年度版馬場あき子の外国詠11(2008年9月)
    【西班牙3オリーブ】『青い夜のことば』(1999年刊)P58~
    参加者:F・I、N・I、T・K、N・S、崎尾廣子、T・S、
       藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:渡部慧子 まとめ:鹿取未放


95 アンダルシアのユーカリは汚れし手を垂れて泣けてくるやうなやさしさにじます

    (レポート)(慧子)
 サハラ砂漠から季節風が吹き、雨量の少ない地であるから「ユーカリは汚れし」は想像できる。「泣けてくるやうなやさしさにじます」と詠っているのは、対象に距離を置かない作者の心の表白であろう。


      (当日発言)
★馬場は動物にも植物にも人間のようなシンパシーを持つ人なので、この歌もユーカリ
 に対して人間のようにゆかしさを感じているのでしょう。(鹿取)


    (まとめ)
 ユーカリの木は六年で成木になるそうだ。1メートルの成木もあるが、高いものでは100メートルにも育つという。多くの種類があるが、ここでは柳の葉に似た細長い葉を垂れる種類なのだろう。乾燥地にあって水分不足で葉が垂れているのかもしれないし、土埃で汚れているのであろう。
 下の句は八・八とたっぷりにうたわれて、こちらの情を誘い込むようだ。「やさしさにじます」の主語はユーカリの木であろう。(鹿取)


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