かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 348(スイス)

2019-10-07 18:45:23 | 短歌の鑑賞
馬場あき子の外国詠48(2012年2月実施)
   【アルプスの兎】『太鼓の空間』(2008年刊)173頁 
    参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:渡部 慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
    

348 風疾(はや)きビルの谷間を行くときをアルプスの兎低く啼く声

     (当日意見)
★ここは帰国して都会の殺伐としたビルの谷間を歩いている時、そのビル風をアルプスの兎が鳴い
 ているようだと感じたのだろう。旅の途中、アルプスの兎の鳴き声を聞いたかどうかは不明だが、
 ビル風の音を聞きながら、アルプスの兎が鳴いたらこんな哀しい声ではなかろうかと想像してい
 るのかもしれない。歴史について、人間についてスイスで様々な苦を見てきたとは言え、風景自
 体は夢のように美しかったスイスの旅、ここでは都会に戻ってきた現実の苦い感慨だろう。
   (鹿取)

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