『トイレが変形していた為に、頻繁にトイレがつまった。』
私が以前、調査した住宅の中に、住宅設備に問題があって、とんでもない問題を起こし
ていた事例がありました。
どのような問題かと言いますと、「やたらとトイレがつまる。」のです!
それも、毎月一回は、必ずトイレがつまるんです。
…便器部分を外して、配管等を検査しましたが、何の問題もありませんでした。
でも、その外した便器の形が、ちょっといびつだったんです!
そこで、メジャーを持って来て、あちこち計測してみる事に…
…その結果、本来は、便器を上から見た時に、左右対称でなければならない便器が、
右側が大きくて、左側が小さかったんです…
便器、つまりは、衛生陶器と言う製品は、粘土を電気炉で焼いてつくります。
この時に、粘土の粒子と粒子が、熱で融けてくっついて、硬い陶器の便器になります。
この時に、最初の粘土でつくった便器の大きさと、焼き上がって陶器になった便器の
大きさは、かなり違います。
…焼き固めると、だいたい2割位小さくなるんです!
この時に、収縮が均一でないと、いびつな形になってしまう訳です。
「つまる便器」も、焼き固める時に、収縮が均一でなく、形がいびつになってしまった
事によって、排水部分も、場所によって、設計寸法よりも、管が細くなっていた為に、
便やトイレットペーパーがつまる現象が起きていました。
…「便器」は、未だに職人さんが、一つ一つつくっているんです!
まるで、工芸品をつくるみたいに、慎重に慎重にフォルムを形づくって行きます。
その時に、不良品は、はねられるのですが、どういう訳か、B級品が市場に出てしまう
事もあるようです。
それでも、日本の衛生陶器は世界トップレベルの品質で、あるアメリカのミュージシャ
ンが来日した時に、便器に書かれていた企業名を、そのままグループ名にしてしまった
位です!
日本は、このセラミック加工技術を活かして、戦争中は、「陶器の貨幣」をつくったり、
「陶器製手榴弾」までつくっていました。
また、医療分野でも、日本のセラミック技術は優秀で、「義歯」に使用する「陶歯」の
分野でも、日本製は高く評価されています。
…「つまる便器」はあってはいけない事ですが、最初、誰も便器の変形が、トイレが
つまる原因だとわからなかったのは、日本製の優れた衛生陶器には、あり得ない「欠陥」
だったからです。