あのうの幸せトンボ

日々の何気ない出来ごとを、思いつくままに……。

I さんの事

2011-11-22 15:57:05 | 日記
昨日、老人ホームのボランティアに行った。
行き始めてから3年になる、いつもの特養のホームだ。
入浴する人の車いすを押して、お風呂の前まで運んで行くのと
お風呂から出てきた人の頭髪をドライヤーで乾かし、
靴下と靴を履かせてまた、元の場所へ車いすを押して行く。
それだけの事だが、ホームの廊下は結構長くて何度も行き来していると
今の時期でも体が火照ってくる。
何度も行っていると、顔見知りのお年寄りも増えて来る。

その中で、雨の日も風の日も真夏の暑い日にも自転車で奥さんに
面会に来る80歳は越えていると思われるI さんという方がいて、
いつも奥さんが風呂から出るのを来客用のソファで新聞を見ながら待っている。
昨日もいつものように、お年寄りの世話をしながら、ふと、
I さんの姿が見えないのに気づいた。
職員に聞けば、奥さんが2週間前、急に容体が悪くなって亡くなったとの事。
それで、I さんがいつものソファに座って居ないんだと納得しても
お年寄りの車いすを押してソファのそばを通るたびに、
やさしそうなI さんの顔が目に浮かぶ。
奥さんが亡くなって今頃、家でどうしてるんやろ?
面会に来るのが「生きがい」だったろうに……。

老人ホームに来ていると、前回いた人の姿が見えなくなっていたり、
代わりに新しい人が増えていたりと言うことはよくある事だが、
今回のI さんの件は、誰にでも訪れる「別れ」と言うことについて
考えさせられる出来事であった。