


あらすじ(「BOOK」データベースより)
不意の出会いはありうべき未来を変えてしまうのか。ふつうの家庭、すこやかなる恋人、まっとうな母親像…「かくあるべし」からはみ出した30代の選択は。


定職につかずとも男女の区別なく誰かに助けられて生きてきた母親・直子の息子・智。直子と智がある人に助けられて(拾われて)、その人の家に1年くらい住むことになった、その家の娘・泰子。智も泰子も現在30代。
智は何も考えることなく、人生を生きている。生きているという実感さえもないかもしれない男。あまりに何も考えてないので、読んでるとイラッとさせられることもしばしば。そんな男でも人との関係を持続させることができないことに気づき、物語はスタートします。
泰子は、直子と智が自分の家にきたからそれまでの普通の生活が壊れ、普通から遠ざかった人生を送る羽目になったと思っています。その割に、智が泰子に会いに来たら、20年ぶりくらいにもかかわらず、家に入れて挙句の果てに関係をもってしまいます。頭でダメだと考えてるのに。泰子にもイラッとさせられることしばしば。
2人とも普通の人生が送れないのは直子のせいだと思い、読んでいる私もそうだと思うときもあり。でも、「普通」「まっとう」なんて100人いれば100通りあるんだから、2人にもっと慎重に行動してと思ったり。
でも泰子は気づきます。自分の人生は、自分が選び取ってきた事実の上に成り立っていると。生まれたときからその人はその人でしかなく、その人生は誰かに変えられてしまうようなものではないと。物語の最後の最後、泰子の人生に、そして誰の人生にも光はさしていると感じました。