緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

家庭の医学(3)

2008年01月05日 | つれづれ

在宅での看取りまでの過程は
在米中始めたホスピス研修で感じたことを
思い起こさせてくれました。
なぜ、日本では、在宅で自然に亡くなっていくことが難しいのか・・と。

今から15年ほど前のことですから
今でこそ在宅という言葉が普通に通じるようになっていますが
当時の日本は、ホスピスも少なく
病院で最期まで過ごすのがあたりまえのような時代でした。
アメリカもまだ、緩和ケアは後進国でした。
9割が在宅ホスピスで、医療費政策に影響を受けていました。
ただ、そうした社会的なことはさておき
自然なありのままの人の生き死にが
普通に、目の前に繰り広げられていました。

自宅で療養する母を娘は支えながら
母の病状を肌で感じ
医療スタッフから説明されるまでもなく
母の命を実病態に乖離することなく
感じ取っていました。

ケアをしながら
母の体と対話を続ける様子が描かれています。

自然に、人が生をまっとうしていく様はどのようなものなのか

この本を読み終わったときに
多分、多くの人がこんな風な最期なら
幸せだと感じるのではないでしょうか。

訳者は、これを介護文学として分類していますが
私は、賛成ではありません。

是非、多くの方に読んでみて頂きたいと願っています。


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