昨日は、日本緩和医療学会第6回東海・北陸支部大会にお招きいただき、日帰りの名古屋でした。
がん疼痛の緩和治療現場に生かせる論文を読み解いてみよう
というタイトルで1時間
講演させて頂きました。
その中から・・
疼痛があるがん患者さんは
疼痛がない患者さんに比較して
不安を感じるリスクが2.5倍
うつに至るリスクが3.5倍
働けなくなるリスクが4.9倍
高くなることが報告されました
高くなることが報告されました
(Sanford NN, Cancer. 2019;125(23):4310–8.)
痛みを強くさせてしまう背景因子には
収入が少ないこと
併存症が多いこと
初発より再発の場合
などが下の論文では明らかにされています。
(Wang HL, Psychosom Med. 2012;74(6):642–7.)
この二つの論文を合わせてみると
こんな悪循環が見えてきます
痛みがある
↓
働くことが難しくなる
↓
収入が少なくなる
↓
痛みは悪化する
↓
さらに働けなくなる
この悪循環を断ち切るためには・・
痛みの治療が必要
私たちが
患者さんの痛みの治療を行う時
痛みの症状を取るところで止まってはダメなのです
患者さんの痛みの治療を行う時
痛みの症状を取るところで止まってはダメなのです
痛みを取った先にあるものを
患者さんと話し合いながら
目標を見つめながら
痛みの治療を行っていくこと・・
患者さんと話し合いながら
目標を見つめながら
痛みの治療を行っていくこと・・
仕事が少しでも取り組める
退院できる
抗がん治療が可能になる
夜寝られる
・
・
私たちは症状緩和の先を見据えた緩和ケアを目指したいものです
Jill WellingtonによるPixabayからの画像
ミシガンの写真家さんの感謝祭写真
いつもためになるお話をいただき、「なるほど」と頷かされるばかりです。
「痛み」が心や行動を、そうして、人生そのものまでも蝕んでいく。
すごくよく分かった気がします。
私は、教育という分野に足をかけていますけれど、ちょっとした言葉のやり取りや出来事への印象が、その人の人生を大きく左右してしまう事例を数多く見てきました。
そうして、私たち、今、目の前にある苦痛に目を奪われてしまいがちです。
でも、苦痛に向き合うとともに、その先に広がる未来を見通しての歩み。
大切な視点ですね。
ありがとうございました。
嬉しいコメント、ありがとうございます✨
これらの論文のスゴイ所は、漠然とそうだろうなあと思っていることをキチンと統計学的に差があることを証明してくれていることです。
こうした手法を確立した疫学や統計学の専門家は本当にスゴイなあと思います!
いつも、お訪ねくださり、感謝です!!😊