昨年に比べると今年は少し桜が遅いようです。
昨年、これほど大変な患者さんは
もう出会わないかもしれないというほど
スタッフは皆、ケアで心身ともに
ぼろぼろになってしまったことがありました。
下の記事はちょうど一年前のものです。
この桜を一緒に見に行ってくれた研修医が
今ではレジデントとなり
先日、食堂で
「先生。
去年一緒に見に行った桜を
今年、今、受け持っている方に
見せてあげようと思っているんです。」
薬剤だけではない・・と教えたレジの
その気持ちが本当に嬉しかった・・
+++++++++++++++++++
お元気でしたか?ここをクリックお願いします。
ブログランキング「緩和ケア医の日々所感」のクリックでもどってきます。
+++++++++++++++++++
東京は今夜から冷え込むと天気予報。
ベットで寝たきりで首を横に向けられない若い患者さんにどうしても今年の桜を見せたくて、午後病室からベットごと外来棟横まで外出した。骨転移で体幹の骨は大変もろく、ちょっとした振動でも痛みを訴える。
安静時ですら一日静注モルヒネ1200mg以上、ケタラール200mg、ロピオン3回、ステロイド・・・という疼痛管理中。静注1200mgとは経口で3600mgに相当するが、意識は鮮明である。モルヒネを投与すると朦朧として正常な知的活動ができないと誤解されることがあるが、上手に投与すると高容量でもまったく意識に問題はない。
桜の木の下までスロープで行ける道を昼休みに研修医と下見しておいた。
上から舞い落ちる花びらと風、冬の後久しぶりに浴びる日差しに戸惑っていた。ご家族と写真を何枚も撮っていた。
悲しいことだが、もうしばらくすると別れの時がきてしまう。ここ何年も闘病を支えてきた若い夫婦の残された方にとって、どんなに大きな穴が開いてしまうことだろうか。緩和ケア医は傍にいることは出来ても、埋めることはこれから旅立たれようとしている方でなければ出来ない。生きている今・・
今日、せめて桜の木の下の写真が残せたら、きっとそれを胸に妻は生き抜いてくれると思った。
研修医や学生が何人も勉強に来てくれる。多くの研修医は薬剤の用い方を学びたいと言う。そして、多くの患者は痛みさえとってくれればという。薬剤の使い方は難しいことではない。本当に難しいのは、死に直面した苦悩は薬剤だけでは解決できないということにある。鎮痛薬を使って身体的苦痛は緩和できても、人生を閉じることは心が張り裂けそうになる。若い医師が、薬剤投与方法を学ぶことは基本であって、さらに、人を支えるということはどのようなことなのかを感じ、経験していってもらうことが今の目標である。
東京は、雨になった。明日は冬の寒さが戻ってくる。病院の満開の桜は散ってしまうだろう。今年の桜に一期一会・・
(以上、昨年の記事)
今年の桜は、今週末が見ごろでしょうか・・・
ここ、クリックお願いします。人気ブログランキング参加中です。
今日も、お付き合いくださりありがとう。明日も、来て下さいね。
+++++++++++++++++++++++++++
私が薬剤師さんによくお願いするのは、その薬剤の副作用、配合性、安定性などです。この薬剤は粉砕できるのか、そのときの収斂性は?注射剤では、混注できるかなどなど・・はやり、薬剤のプロフェッショナルであってほしい。コミュニケーションは上手であったほうが、よりよいけれど、心がほっとできるような笑顔や医師にはいえないことがそっと言えるような位置にいてくださることがよいと思います。
キャサリンさん
無関心なほど、辛いことはないですね。医療に限らず社会に共通することだと感じています。色々なことを乗り越えられて、5年になるのですね。その力の源はどこにあるのですか?本当に素晴らしい。私も見習いたいと思います。