もう25年位前になります。
早春の頃。
沈丁花の花を病室に挿していらっしゃった患者さんでした。
病室を訪れると、ふわ~っと花の香が広がっていました。
患者さんは、幼少時に視力を失っていらっしゃっていました。
それもあったのでしょうか、ご家族は、とても、香りを大切にしていらっしゃいました。
個室の緩和ケア病棟ならではでした。
大部屋でしたら、他の患者さんにとって、香りがよい場合も、悪い場合もありますから、香りのするものを病室に置くのは難しいものです。
患者さんは、その頃、大腸浸潤が皮膚瘻を作り、そのケアを入院して続けていました。
毎年、6月の終わりごろ、日本緩和医療学会の学術大会が開催されます。
丁度、その年のその頃・・・
最期の時が近づいていました。
学術大会は近郊で開催されていたこともあり、大会の合間を見ては度々病院に帰ってくるなどしていたことを思い出します。
今年も、来週から学術大会に参加します。
もう、第27回。
この2年間はWeb参加でしたが、今年は現地参加します。
学会自体はハイブリッド開催ですが。
香りの記憶は、何年経っても、覚えているものだなあとつくづく感じます。
早春の沈丁花と初夏の学会・・・
25年経ても・・・
良いことも悪いことも・・記憶の引き出しが開いちゃうんですよね😌
実は私は40歳のころから匂いを徐々に感じなくなっていました。60歳を過ぎてからは、ほぼ感じません。薔薇も百合もクチナシも、コーヒーも、線香も‥。50歳のころまでは腐った匂いは解りましたが、今はもう何も感じません。数年前に耳鼻科で治療を2か月継続しましたが、「40歳のころに気がついて治療すれば治ったかもしれないが」と匙を投げられてしまいました。
しかし、記憶の中では花の匂いはいまだに残っています。あるいは残っているように思いこんでいる、といったほうがいいのかな。
梅の花、紅茶の匂いを未だに時々思い出します。家族の思い出に付随して思い出すことが多いです。
匂いがさまざまな思い出の縁になる、というのは実際に感じなくともあり得る、というのが今の私の持論です。
香りが思い出や記憶につながるってありますね。
私にとって「沈丁花」は3月ごろの
別れと旅立ちを思い起こす香りです。
学生時代の沈丁花の香に託して、短歌にしたものが残っています。
また冬のお花の少ない時期には、2月ごろに香る
「蝋梅」も、寒い中でホッとさせてくれて、記憶に残る
香りです。
以前副鼻腔炎を患い、そのために匂いが徐々に亡くなった時の
不安はかなりなものでした。すぐ耳鼻科に受診した時
「早く来たから良かったけれど2週間遅れていたら
完治しなかった」と言われて助かったことがありました。
匂いがしないとお料理も何を食べているかわからないという
ほんとにつまらない日常をあの時経験しました。
本当にそう思います。
五感と記憶は繋がっているなあって・・・
コメント、ありがとうございました!!
aruga
そうだったのですか。
あの時の患者さんは、視力を失われて、その分、他の感性がとても高い印象を持っていました。
Fsさんが匂いがわからなくなってから、他の感覚はどのようだったのかなあって、思いをはせながら拝読しました。
また、匂いの記憶や匂いに付随した記憶のことは、そうなんだ!!って感激しながら読ませて頂きました。
コメントに教えて頂くことが一杯ありました。
ありがとうございました!
aruga
やはり花の香りの記憶をいくつかお持ちなのですね。
同じ沈丁花にも。
別れと旅立ち・・3月ならではの記憶ですね。
出来ていたことを失いそうになることの不安・・確かにその通りだなあと思いながら読ませて頂きました。
コメント、ありがとうございました!
aruga