緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

心の対話

2009年05月14日 | つれづれ

心の中で、かつて見送った患者さん達と よく対話をしていました。

「痛みをとってあげられない。ヒントを頂戴・・」
「何も役に立っていないように気がして・・道が見えない・・」
「どうすれば、いい・・?」

迷ったとき、困ったとき・・・
空を見ながら、語りかけていました。
そして、いつの間にか答えを見つけている自分に気づきました。




緩和ケアを教えてもらっていた数年
とても楽でした。

幾つかの施設で緩和ケアを立ち上げに関わるようになって
緩和ケアは、私が一番よく知っているからと
頼りにされる様な立場になって
改めて、ぶつかる壁、壁、壁・・・・

自分で考え、自分で勉強し、離れた仲間や師にコンサルトし、
それでも、答えが見つからない時は
空を見上げ、初心に戻って
文献を読み・・・・ 
孤独なプロセスが、どのような状況でも道を見つけ
ほそぼそながらも道を太くすることができるように
タフになっていきました。

自分で切り盛りしなければならない様になってから
本当の意味で成長できたように思います。





多くの方々、特に看取られた後のご家族に
「大変な仕事だと思います。お辛いこともあるでしょう」
と言われる事があります。
大切な方をなくされた後の
グリーフワークの最中にあるご家族だからこそ
多くの方を看取ってきた私たちはどの位大変なのだろうか・・と
思いをはせてくださるのだと思います。


悲しいと感じることは沢山あるのですが
実は、あまり、辛いと思ったことはないのです。

むしろ、看取った患者さんに
今も助けられているような
守られているような気持ちであり
多くの“あとおし”のおかげで
大変なことを乗り越えられてきました。

一人ではない。
皆が見守っていてくれている・・


心の対話は続きます。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます。 (せきね)
2007-04-13 08:35:24
先生のブログを拝読していて、
忘れてはいけない事をいつも
思い出させて頂いている様な
気持ちです。
ありがとうございます。
返信する
命の重さ・・・。 (ぴょん)
2007-04-13 09:33:33
お医者様、緩和ケアの先生はもちろん、お医者様って、本当に大変なお仕事と思います。
命を預かる、助ける・・・。
その昔、幼稚園に勤めておりました。
若者ではなく、私が、馬鹿者だった頃。
ある意味、命を預かっておりました。
先日、学生自体の友人達と会い、「命を預かっているのよねぇ。私達って。」と、職場復帰を果たしている友人達と話しました。
どんなお仕事も、大変ですが・・・。命の重さ。
たまに、思い出したいと思っています。
返信する
コメントありがとうございます (aruga)
2007-04-13 23:01:09
せきねさん
初めてお目にかかったときは学生さんでしたね。病院のカンファレンスに参加してくださったときの感想が私にはとても新鮮でした。互いに意識していないところを刺激しているのかもしれません。せきねさんも私も同じね。

ぴょんさん
人とのつながりがある仕事はよいものだなあと思います。幼稚園は、ただ幼子を守るだけではなく、育てるという役割もありますから、とても責任の重いお仕事だと思います。
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