緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

がんになったとき、子供たちも治療の輪に

2015年04月05日 | 医療

ある胃がんの患者さんを診ていた時、
小学校高学年のお子さんがいらっしゃることを知りました。

夫は医療費のことを考えても、
仕事は休むことができず、
お子さんからすると従兄にあたる大学生位のお兄さんが
学校から帰ってきたら面倒をみているようでした。

一人っ子だったこともあり、
私はお子さんのことが気になり、
率直にその気持ちをご本人にも
夫にも、伝えました。




病気のことをお子さんにも
伝えてあげたいこと、
質問にも答えたいことなどを・・





多くの場合、このように話して、
お子さんを連れてきてくださる方は、
あまり多くありません。

自分のことで精いっぱいという気持ちもあるでしょうし、
子供に負担をかけるのではないかというような気持ちも
あってのことでしょう。



ただ、この患者さん方は、
子供に気持ちを聴いてみますと言ってくださいました。








その数日後、従兄さんが学校が終わったら、
連れてきてくださいました。

とても、緊張しているように見えましたが、
しっかりと聞いてくれました。




がんという病気が胃の中に広がっていて、
しなやかに動かなくなっていること、
そのために、吐き気があったり、
食欲がでなくなっていること。

これは、うつる病気ではなく、
何かが悪くてそうなっているわけでもなく、
お子さんがお母さんにストレスをかけたとか
そういう理由でもないこと。

治療を進めていくと、外泊や退院ができるけれど、
副作用で下痢をしたり、
疲れやすかったりすることがあるので、
そんな時は、大丈夫?と声をかけてあげてほしいこと。
(何かお手伝いができなくても、いいことも)




そんな話をひとしきりして、
何か質問ありますか?
と聞いたとき、
何も反応がありませんでした。
ないとも、首を横に振ることも・・

がんってことは知っていたかな?

うん。

聞いたとき、どんな気持ちだった?

・・・

お母さん、死んじゃうのかなって思ったことあった?

・・・ 首を縦にふりました。

(次回につづきます)


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