緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

構造化されないサポートグループの大切さ

2017年02月19日 | 医療

コアラカフェ©が

はじまりました。





フェイスブックにいいねをつけてくださったり、
シェアして下った皆様、
本当にありがとうございました。

突然、招待させて頂いたものですから、
ちょっと驚かれたのではなかったでしょうか。
説明もあまりできず、すみません。


コアラカフェは、大切な大人ががんになった子ども達のサポートグループ。




子どものサポートグループと聞くと、
有名なものでは、
CLIMBなどがあります。

色々学ばせてもらいました。
内容は大変素晴らしいものですし、
心理の専門家の方によるサポートグループです。
ただ・・・緩和ケア医師として
がん患者さんの早期から死別後まで関わっている立場としては
私たちが接している患者さんの
ご家族、子どもたちには適応できないな・・・と感じました。


なぜか・・・

構造化されすぎているのです。






構造化というのは、
小学校の授業でいうと、
国語、算数、社会と1時間目から5時間目まで、
きっちりと組み込まれ、
その授業の指導要領があり、
それに従って、目標があるような
枠(プログラムフレーム)がしっかりとしたものを指します。
成績別英語クラスなどは、さらに、
詳細な構造化がされているわけです。

それに対して、
構造化されていないものというのは、
1年生から6年生まで一緒になった
自由時間や合同総合学習のような
個々の自由度が高いようなものをさします。

構造化されたものは、
均てん化され、質の保証がされます。
一方で、構造化されていないものは、
当てはめる枠が緩く、
りっぱなことはできない可能性があります。




これをサポートグループに置き換えると、
サポートの質は、フレームがしっかりしていた方がよいのですが、
枠に当てはまらない人は、
グループワークではなく、
個別ケアや別グループへ移ることが必要になるわけです。

学校で言うと、学校の授業から離れて、
個別に先生に教えてもらったり、
英語のクラスは別のクラスに移ってと言われるような感じです。




これを、大切な大人ががんになった子ども達のグループで実際にやろうとすると、
子ども達の状況というより、
大人のがんの進行度に合わせて、
グループから外れる必要がでたりするわけです。

グループの内容ががんを学ぼうとか、
親のがんの治療を知るといったアクティビティになると
進行度が高い子ども達はちょっと違うグループワークが必要となってしまうのです。

いつのまにか、自分は他のグループに移ってと言われた・・

などというと、子ども達に知らないうちにさらなる
喪失体験を味あわせてしまうと私は感じたのです。




実際に、CLIMBは比較的早期のがん患者さんの子ども達、
バタフライプログラム(というものを別に作ったのだそうです)は
比較的進行したがん患者さんの子ども達・・・
で、6回シリーズ(だったでしょうか)区切りをつけるのだそうです。





コアラカフェは、
違うのです。

月1回、第3日曜日。

親の病期で子ども達が入るグループを決めたりするのではなく、
つまり、構造化させすぎないで、
参加してもらえるようなプログラムにしています。

自由遊び。
途中、皆で行うアクティビティを入れ、
その日の集まっている子ども達に合わせて選択できるよう
引き出しを25個位つくっています。

そして、ファシリテーターが一人に一人つき、
支持的な関わりと安全を保障することを大切にしています。

最初と最後にいつも同じことをやって、
その時間を終えたら、
また、日常に戻っていきます。

これを一緒に作ってくれている看護の先生達に、
とにかく、この構造化をさせすぎないプログラムにすること
定期開催にして、終わりを決めるのは子ども達自身がすることを
お願いしてきました。




イメージしたのは、子ども食堂です。
臨床心理士さんやチャイルドスペシャリストのような立派なものではないけれど、
一定の子ども達なら、誰でも立ち寄って、おしゃべりして、
安心してまた日常に戻れるような、
一言で表現するなら、おばちゃんたちのカフェです。




そして、コアラカフェという名称とマーク

商標登録をとりました。



大体、こういうことは、
弁理士さんに代行を頼むのだそうですが、

これは、私自身がすべて手続きを行い、
登録を完了させました。
特許庁にも行きました。

ここはちょっと自慢です・・





今は、学術大会のことで、コアラカフェはお手伝いできていませんが、
学術大会の中で、中心になってくれている先生に
発表して頂きますし、
私に基本を教えてくれた
シンシアホワイトさんのワークショップもあります。

本当に、楽しみです。


本も今、作っているところです。


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