土佐のカッパ
(原題は、「猿猴」)
2020.3
土佐の国では、カッパを猿猴(えんこう)と称する。
これは猿という事ではない。
水中に棲み、頭に水をいれる皿があり、手に水かきがあり、小児などを取って食うものである。
すなわち、他の地区でいう河童である。
高知城下の鏡川にて、或る時、猿猴(えんこう:カッパ)が人を捕えようとして、逆に捕えられた。
天神(潮江天満宮で高知市街半分の氏神様)の氏子ならば、今後は、害を加えない、という約束で、許された。
又、高知城の東に一里の下田村でも、同じ様に馬の手綱を引張り、水中に引き込もうとしたが、逆に、馬に引きずりあげられて、人に捕らえられた。
これまた、同様に、下田生れの者には危害を加えない、という約束で、赦された、
それで、高知近辺の小供が夏の水泳の時には、下田生れで天神様の氏子だ、と大声で叫んで水に入れば、決してカッパ(つまり猿猴)の患いは無いという事である。
筆者(この本の著者、寺石正路)等は、現に幼時は、このように教えられて、いつも水泳したものであった。
「土佐風俗と伝説」(大正14年、寺石正路)より
(原題は、「猿猴」)
2020.3
土佐の国では、カッパを猿猴(えんこう)と称する。
これは猿という事ではない。
水中に棲み、頭に水をいれる皿があり、手に水かきがあり、小児などを取って食うものである。
すなわち、他の地区でいう河童である。
高知城下の鏡川にて、或る時、猿猴(えんこう:カッパ)が人を捕えようとして、逆に捕えられた。
天神(潮江天満宮で高知市街半分の氏神様)の氏子ならば、今後は、害を加えない、という約束で、許された。
又、高知城の東に一里の下田村でも、同じ様に馬の手綱を引張り、水中に引き込もうとしたが、逆に、馬に引きずりあげられて、人に捕らえられた。
これまた、同様に、下田生れの者には危害を加えない、という約束で、赦された、
それで、高知近辺の小供が夏の水泳の時には、下田生れで天神様の氏子だ、と大声で叫んで水に入れば、決してカッパ(つまり猿猴)の患いは無いという事である。
筆者(この本の著者、寺石正路)等は、現に幼時は、このように教えられて、いつも水泳したものであった。
「土佐風俗と伝説」(大正14年、寺石正路)より
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