市井雑談集 干し首(首狩り)、河童、狸
2024.11.17
縣巫(あがたみこ)は、弦を叩き、死んだ者の魂を招き、自分のロから、死者からの言葉を伝える。
(恐山のイタコのようなもの)
この事は、王充の論衡の記載されている。
かの巫女で、後仏(ゴブツ か?)と称するものを、懐に入れている者がいる。
これは、異相の人の洒落頭(されこうべ)を以ってこしらえた物であると言う。
本当の事かは、わからない。
(訳者注:昔、多分50年以上前に、インカ文明に関する展覧会で、干し首?を見たことがある。その説明によると、人間の頭部から、頭蓋骨を取り除き加工し乾燥させたモノである。おそらく、野球のボールより少し大きかったような気がする。この大きさだと、懐に入れておける。後仏とは、こんなものでは、なかろうか。)
高野山平等院で、水虎(スイコ:河童)が、人にとり憑いて、自己の姿を描いたものが、ある。
その内で、自分の姿を、「己躰此(おのれのカラダは、これ)」と書いたものがある。
怪異の物である。
又、宇治拾遺物語に、こんな話がある。
一人の僧がいて、一庵を結んで、長いこと修煉していた。
ある時、夜々に普賢菩薩が白象に乗って、彼の庵に来た。
庵主は、礼拝して感激の涙を流した。
ここに、一人の凡人がいた。
これを見て、偽物だとして、信用しなかった。
弓を携えてきて、矢を放った。その普賢菩薩は、矢にあたって、倒れた。
見ると、それは古狸の化けたものであった。
このような類(たぐい)も多いことであろう。
「市井雑談集」 広文庫より
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