古碑を礎となし霊魂夢に入る
2020.1
奥州二本松(福島県二本松市)の薬研屋(やげんや)久心と言う者が、庭をつくった。その時、同じ二本松の正念寺の山に、苔が生えて古びた石塔を見つけ、庭の踏石にした。
ちょうど、その頃より、恐しい夢を、たびたび見るようになった。
ある時、外で寝ていると、若い女が、恐ろし気な姿で出てきた。
「私が、長年住なれた場所から、何の理由があって引き離して、ここへ連れてきたのか?」と、怒った眼差しがすさまじかった。
それで、胸が騒いで、だた忙然となり、しばらくして、やっと落ち着いた。
この事が恐ろしくて、多くの人に話した。
すると、ある老人がこのように語った。
「このふみ石は、八十年以前に、畠山重次と言った人の娘が、十七八才で亡くなり、それを葬った石塔である。
このような恐ろしい夢は、その祟りであろう。
早く本のところに返したほうがよい。」と。
それで、言われたように、石塔を元に返したら、恐ろしい夢を見なくなった。
延宝年中の事であった。
以上、「新著問集」より。
2020.1
奥州二本松(福島県二本松市)の薬研屋(やげんや)久心と言う者が、庭をつくった。その時、同じ二本松の正念寺の山に、苔が生えて古びた石塔を見つけ、庭の踏石にした。
ちょうど、その頃より、恐しい夢を、たびたび見るようになった。
ある時、外で寝ていると、若い女が、恐ろし気な姿で出てきた。
「私が、長年住なれた場所から、何の理由があって引き離して、ここへ連れてきたのか?」と、怒った眼差しがすさまじかった。
それで、胸が騒いで、だた忙然となり、しばらくして、やっと落ち着いた。
この事が恐ろしくて、多くの人に話した。
すると、ある老人がこのように語った。
「このふみ石は、八十年以前に、畠山重次と言った人の娘が、十七八才で亡くなり、それを葬った石塔である。
このような恐ろしい夢は、その祟りであろう。
早く本のところに返したほうがよい。」と。
それで、言われたように、石塔を元に返したら、恐ろしい夢を見なくなった。
延宝年中の事であった。
以上、「新著問集」より。
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