江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

新説百物語巻三 8、猿 子の敵を取りし事

2022-12-10 15:47:35 | 新説百物語

新説百物語巻三 8、猿 子の敵を取りし事

8、猿 子の敵を取りし事     

   猿の敵(かたき)討ち

若狭の国の百姓で、二匹の猿を大変可愛がっていた者があった。
二匹の猿は、子を一疋生んで可愛がって育てていた。

ある時、この小猿が、庭のまん中で遊んでいたのを、空から鷹一羽飛んで来て、軽々とひっつかんで、大空に飛びさった。
二疋の親猿たちはそれを見て、或いは梢にのぼり、又飛び上って悲しみ泣いたが、何方へ行ったのか、どうしようもなかった。

それから、二疋の親猿は食べもせず、ただただ呆然としていた。

しかし、二三日も過ぎてから二疋の猿は、どこへ行ったか、朝早く出て帰ってこなかった。
皆々 不思議だと思っていたが、やっと八つ時に帰って来たが、魚のはらわたと覚しい物を持って帰ってきた。

その魚のはらわたを、一疋の猿が頭にのせて、前に子猿のいた所にうづくまっていた。
半時ばかり過ぎて、又空より鷹が一羽飛び下りて来て、かの魚のはらわたをつかんで去ろうとする所を、いきなり下から飛びついて、その鷹を捕まえた。
もう一匹の猿も出て来て、二疋して羽根をむしって食らいつき、なんなく鷹を喰い殺して、子猿のかたきを取った。

動物の知恵には、恐るべきものがある。(と語った)

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿