神田蘭…『徂徠豆腐』
昔々亭慎太郎…『家族旅行作文』
春風亭柳好…『悋気の独楽』
春風亭昇太…『唖の釣』
《お仲入り》
【真打昇進披露口上】
柳好・柳太郎・昇太・柳桜
春風亭柳桜…『狸の札』
宮田陽・昇…「漫才」
春風亭柳太郎…『佃祭』
5月上席の末広亭から始まった3人揃っての昇進披露興行も昨日の池袋で終わり、今日からはまた新しい芝居。
浅草で真理さん
の名前がありますが、21と22日は休演だそうで迷わず日本橋へ。
今日からここ日本橋亭では21(柳太郎)・25(文月)・26(夢花)と一人ずつの披露興行です。
開口一番に昇太師匠のお弟子さんで「昇々さんが出ないかな?」と思いましたが、登場したのは蘭さん。
「披露興行という席なので、おめでたい噺を…」と『徂徠豆腐』を一席。
今回は予定されている出演者に女流がいないので、まさしく披露目の席に華を添えました
続いて慎太郎さん。さすがに今日は飲み物を持っていませんが、入門当時に柳太郎師匠が立前座で大変お世話になったというマクラから、家族旅行の創作落語。
先日の深夜寄席でも聞きましたが、なかなか良くできた筋で場内も笑いに包まれました。
連日の猛暑で「干からびそうです」と柳好師匠。細身の体にはこの暑さが相当厳しそうです。
ヤキモチやきのおかみさんと定吉のやりとりが面白く、柳好師匠もお祝いの席で楽しそうに演じられていました。
昇太師匠が登場するころには場内も満席状態。
弟子の披露目という「ビッグなイベント」に昇太師匠はマクラから全開!
一人で食事ができない昇太師匠は家が近所の柳好師匠を誘っていたそうですが、柳好師匠はそれを断ったことがなく、もちろん誘った昇太師匠の奢りです。
ところが、柳好師匠が結婚すると今度は奥さんまで付いて来て、それも昇太師匠の奢り。
「お願いだから子供ができないように・・・」というオチ。
途中で柳好師匠が高座に出てきて否定しますが、昇太師匠はその姿に
「ねっ、出方や仕草が中途半端でしょ」
牛肉に豚肉を混ぜていた会社の社長の話など、本当に腹の皮がよじれてしまいました
もう落語をしないんじゃないかと思えた所で本題に入ると、ナント「唖の釣」。
与太郎の馬鹿さ加減と七兵衛さんのあわてぶりに、場内の笑いは天井知らずで、久々に大笑いした高座でした。
口上前のアナウンス
『只今より、春風亭柳太郎、真打しょうひん・・・』
蘭さん、やってくれるなぁ!
口上前の緊張感がほぐれました
太鼓ときれいな笛の音と蘭さんの「とざいとーざーい」という声で幕が開きました。
口上の進行は柳好師匠。
「柳太郎さんと私は同郷で、しかも県も同じという…」
柳昇師のギャグでいきなり大スベリ
昇太師匠は、真打昇進を運転免許に例えてマトモな挨拶。
柳桜師匠の最後の挨拶がまた抱腹絶倒。
柳桜「客席の皆様から、柳太郎にご指導、ご祝儀を…」
昇太「ご祝儀は大事だよね」
柳桜「そう、大事」
昇太「うん」
何を二人で納得しあっているんだ!!
慎太郎さんが拍子木を叩き、盛大な三本締めで口上はお開きとなりました。
柳桜師匠は高座に腰掛け、“落台”を前にしての一席。
ご自身も二つ目まで「柳太郎」を名乗っていましたが、そもそも「柳太郎」という名前は“職業前座(※)”の名前で、その「柳太郎」がついに真打という出世名前になったと喜んでいました。
(※職業前座…二つ目や真打にならず、一年中前座として寄席の仕事に関わっていた落語家)
また下座(お囃子)の橘つやさんという、私が子供の頃に聞いていた名前が出て妙に懐かしさを感じたりした柳桜師匠は『狸の札』。
前座さんでよく聴く噺ですが、真打が演じると一味も二味も違いますね。
肩に力が入らない、軽い噺で場を和ませてくれました。
陽・昇さんの楽しい漫才に続いて、“真打登場”
柳太郎師匠は客席に「新作と古典のどちらを聴きたいか?」アンケート。
新作派が一人だったので『古典をやります』
私は「めちゃうま」も聴きたかったのですが、それはまたのお楽しみということで…。
『佃祭』は私自身初めて聴く噺で、前から一度聴いてみたいと思ってました。
芝居を見に行った旦那がしまい船で帰ろうとする所を一人の女に呼び止められる。
しまい船は出てしまい、仕方なく旦那が女の話を聞くと、3年前に身投げするのを助けたという女。
是非、お礼がしたいというので女の家に行き、その女の亭主とも話をしていると、乗るはずだったしまい船が転覆して全員死んでしまったとのこと。
命が助かり安心している旦那とは逆に、旦那の家では転覆の報せが入って大騒動!
という内容ですが、1か所だけ大きな失敗をしてしまった柳太郎師匠。
それでもうまく修正して何事もなかったように噺を続けました。
サゲが現代では通じない内容ではありますが、そこまでのやりとりは見事で、新作のイメージがある柳太郎師匠の新たな一面を見た気がしました。
終演後、お手伝いに来ていた夢吉さんに口上の時の笛の音が綺麗だったことを伝えると、もう地面に頭が付くんじゃないかと思うくらいの低姿勢。
本当に明るくて好感の持てる噺家さんだなと思いました。
今夜は柳太郎師匠、昇太師匠をはじめ、みんなで手作りのほのぼのとした披露興行を見せていただいたような気がします
昔々亭慎太郎…『家族旅行作文』
春風亭柳好…『悋気の独楽』
春風亭昇太…『唖の釣』
《お仲入り》
【真打昇進披露口上】
柳好・柳太郎・昇太・柳桜
春風亭柳桜…『狸の札』
宮田陽・昇…「漫才」
春風亭柳太郎…『佃祭』
5月上席の末広亭から始まった3人揃っての昇進披露興行も昨日の池袋で終わり、今日からはまた新しい芝居。
浅草で真理さん

今日からここ日本橋亭では21(柳太郎)・25(文月)・26(夢花)と一人ずつの披露興行です。
開口一番に昇太師匠のお弟子さんで「昇々さんが出ないかな?」と思いましたが、登場したのは蘭さん。
「披露興行という席なので、おめでたい噺を…」と『徂徠豆腐』を一席。
今回は予定されている出演者に女流がいないので、まさしく披露目の席に華を添えました
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続いて慎太郎さん。さすがに今日は飲み物を持っていませんが、入門当時に柳太郎師匠が立前座で大変お世話になったというマクラから、家族旅行の創作落語。
先日の深夜寄席でも聞きましたが、なかなか良くできた筋で場内も笑いに包まれました。
連日の猛暑で「干からびそうです」と柳好師匠。細身の体にはこの暑さが相当厳しそうです。
ヤキモチやきのおかみさんと定吉のやりとりが面白く、柳好師匠もお祝いの席で楽しそうに演じられていました。
昇太師匠が登場するころには場内も満席状態。
弟子の披露目という「ビッグなイベント」に昇太師匠はマクラから全開!
一人で食事ができない昇太師匠は家が近所の柳好師匠を誘っていたそうですが、柳好師匠はそれを断ったことがなく、もちろん誘った昇太師匠の奢りです。
ところが、柳好師匠が結婚すると今度は奥さんまで付いて来て、それも昇太師匠の奢り。
「お願いだから子供ができないように・・・」というオチ。
途中で柳好師匠が高座に出てきて否定しますが、昇太師匠はその姿に
「ねっ、出方や仕草が中途半端でしょ」
牛肉に豚肉を混ぜていた会社の社長の話など、本当に腹の皮がよじれてしまいました
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もう落語をしないんじゃないかと思えた所で本題に入ると、ナント「唖の釣」。
与太郎の馬鹿さ加減と七兵衛さんのあわてぶりに、場内の笑いは天井知らずで、久々に大笑いした高座でした。
口上前のアナウンス
『只今より、春風亭柳太郎、真打しょうひん・・・』
蘭さん、やってくれるなぁ!
口上前の緊張感がほぐれました
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太鼓ときれいな笛の音と蘭さんの「とざいとーざーい」という声で幕が開きました。
口上の進行は柳好師匠。
「柳太郎さんと私は同郷で、しかも県も同じという…」
柳昇師のギャグでいきなり大スベリ
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昇太師匠は、真打昇進を運転免許に例えてマトモな挨拶。
柳桜師匠の最後の挨拶がまた抱腹絶倒。
柳桜「客席の皆様から、柳太郎にご指導、ご祝儀を…」
昇太「ご祝儀は大事だよね」
柳桜「そう、大事」
昇太「うん」
何を二人で納得しあっているんだ!!
慎太郎さんが拍子木を叩き、盛大な三本締めで口上はお開きとなりました。
柳桜師匠は高座に腰掛け、“落台”を前にしての一席。
ご自身も二つ目まで「柳太郎」を名乗っていましたが、そもそも「柳太郎」という名前は“職業前座(※)”の名前で、その「柳太郎」がついに真打という出世名前になったと喜んでいました。
(※職業前座…二つ目や真打にならず、一年中前座として寄席の仕事に関わっていた落語家)
また下座(お囃子)の橘つやさんという、私が子供の頃に聞いていた名前が出て妙に懐かしさを感じたりした柳桜師匠は『狸の札』。
前座さんでよく聴く噺ですが、真打が演じると一味も二味も違いますね。
肩に力が入らない、軽い噺で場を和ませてくれました。
陽・昇さんの楽しい漫才に続いて、“真打登場”
柳太郎師匠は客席に「新作と古典のどちらを聴きたいか?」アンケート。
新作派が一人だったので『古典をやります』
私は「めちゃうま」も聴きたかったのですが、それはまたのお楽しみということで…。
『佃祭』は私自身初めて聴く噺で、前から一度聴いてみたいと思ってました。
芝居を見に行った旦那がしまい船で帰ろうとする所を一人の女に呼び止められる。
しまい船は出てしまい、仕方なく旦那が女の話を聞くと、3年前に身投げするのを助けたという女。
是非、お礼がしたいというので女の家に行き、その女の亭主とも話をしていると、乗るはずだったしまい船が転覆して全員死んでしまったとのこと。
命が助かり安心している旦那とは逆に、旦那の家では転覆の報せが入って大騒動!
という内容ですが、1か所だけ大きな失敗をしてしまった柳太郎師匠。
それでもうまく修正して何事もなかったように噺を続けました。
サゲが現代では通じない内容ではありますが、そこまでのやりとりは見事で、新作のイメージがある柳太郎師匠の新たな一面を見た気がしました。
終演後、お手伝いに来ていた夢吉さんに口上の時の笛の音が綺麗だったことを伝えると、もう地面に頭が付くんじゃないかと思うくらいの低姿勢。
本当に明るくて好感の持てる噺家さんだなと思いました。
今夜は柳太郎師匠、昇太師匠をはじめ、みんなで手作りのほのぼのとした披露興行を見せていただいたような気がします
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