
パリから御大のPさんがやってきた。
「生きてる? 元気?」
歳をとると挨拶もこのようになる。
しかも 昨日来る予定だったこともすっかりわすれている。
だから今朝ほど携帯に電話をかけた。
でも 呼び出し音は鳴るものの反応がない。
何度かけても出てこない。
もしかして・・・・・・
ホテルでプチンと
どっかの血管が切れて
逝った?
そんな心配をしてしまった。

歳をとると みなそうである。
Pさんも 10年前にぼやいていた。
「岩ちゃんが電話に出なくてね 心配してみんなで伊豆高原までいったのよっ!」
岩ちゃんとはPさんの大先輩であり
ファッション業界の重鎮だった。
確かにいつ逝っても不思議じゃない年齢だったので
Pさんだけではなく
ボクらもずいぶん心配した。
でも いまはPさん。
やばいなぁ、いつかオレもそうなるのかなぁ?
たまに不整脈が出ると不安になる

まぁ そんな心配をしながら うまい酒を飲みに四旬季に行った。

これがPさんである。
Pさんはパリの有名ブランドCHANELのディレクターをやってる御大で
今回もファッション振興財団でセミナーをするためにやってきた。
かれこれ30年以上のつきあいで
モードのイロハを教わった。

独特の風貌で
一度見たら絶対忘れない個性の固まり。
フランス語と江戸弁(べらんめぇ口調)を流暢に操る不思議なバアさんで
あのカール(KARL LAGERFELD)も 彼女に一目置いている。

そんなPさんに最初にあったのは
ボクが「COLLECTION 」というフランスの雑誌の編集をやっているときだった。
たまたま彼女はコレスポンデントで
パリでの取材とメゾンとの橋渡しをやってもらった。
「なつかしいよねぇ。あの時代」
「あんた、いちばんいいときの編集者だよ」
そんな昔話で花が咲いた。
同席したIさんも アパレルのよき時代のデザイナーだった。

あっ、カナさんだ!
いっしょに一杯やりましょう!
「ダメ、ダメ、顔撮らないで!」
そんな会話が延々と続き
次第に夜も更けてきた。
今日は雨だから電車で帰ろう。


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