「渓流釣りは春の楽しみ」
私がアマゴやイワナ釣りを始めた頃はこのように思っていました。
それは何故か。
答えは、春しか釣れないから・・・なんです。
今から考えると釣れないのも当然で、
要するに、季節が進んでいるにも関わらず、早春と同じ釣りをしていたからなんですね。
その後、シーズン通して渓流に通うようになり、
徐々に実釣を通して渓流魚の性質を知るようになっていきます。
独学の弱みで、自身が経験を通して学び得るしかありません。
その頃から大アマゴへの想いも自然と膨らんでいくのですが、
秋の大アマゴについては、存在自体は漠然と認識していましたが、
実際には、現実離れした想像の世界の遥か遠い存在に過ぎませんでした。
そしてあれから長い長い年月を経て手にした秋の大アマゴ。
当時、遥か遠い存在だったものを目の前にして、
しばらく身体の震えが止まりませんでした。
今ですら毎年秋アマゴを手に出来るようになりましたが、
その中でも、サイズや容姿、そして渓流育ちの環境であるという事から、
集大成となる秋アマゴでした。
小規模な渓流であるにも関わらず、
釣り人を含む天敵から身を潜め、三度目の秋を生き抜いてきたんですね。
改めて力強い生命力を感じる事が出来ました。
写真を撮っていくうちに次第に身体の震えも落ち着いたんですが、
その後、急に胸苦しさを感じました。
多分、心身とも一気に最高潮に高揚した事で、身体が対応しきれなくなってしまったのが原因だと思います。
長年想い続けてきた秋の大アマゴ・・・
出来る事なら、青かった頃の自分に見せてやりたかったですね。
そしてリリースの時。
ゆっくりとスルリと離れて行きました。
駆け出しの頃「渓流釣りは春の楽しみ」でしたが、
今では「渓流釣りは秋も楽しみ」に変わりました。
これからの目標は今回の秋アマゴを超える事。
ハードルは随分と高くなりましたが、釣りは夢とロマン。
いつまでも挑戦の精神を持ち続けていきたいと思っています。
今回で秋アマゴ探しは最終章です。