カラスといちごとクロッカスと

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ハックルベリーって、なに?

2022年09月21日 03時46分08秒 | 果物、実、タネ
2021.07.08撮影

今日ご紹介の植物は、ハックルベリー(Huckleberry)です。英語の huckleberry の berry の部分は、次の berry と同じです。

・ブルーベリー(Blueberry)
・ブラックベリー(Blackberry)
・ストローベリー(Strawberry)
・ラズペリー(Raspberry)

「ハックルベリー」という名称自体は、みなさまも、アメリカの作家、マーク・トウェイン(Mark Twain)の書いた名作に登場する人物の名前として、お馴染みかと思われます。これらの「子ども向け」の小説に登場するトム・ソーヤー(「冒険」の1作目の主人公)とハックルベリー・フィン(「冒険」の2作目の主人公)は、親友です。

1876年出版
「トム・ソーヤーの冒険(The Adventures of Tom Sawyer)」

1884年イギリス出版/1885年アメリカ出版
「ハックルベリー・フィンの冒険(Adventures of Huckleberry Finn)」

ハックルベリー・フィンは、通常、「ハックルベリー(Huckleberry)」をさらに短くして「ハック(Huck)」と呼ばれます。ただ、「ハックルベリー」自体が本名かどうか怪しいものです。なぜなら、huckleberry というのは、「小さくて、重要でないもの」という意味だからです。いくらなんでも、親が、たとえ飲んだくれであっても(ハックの父親は飲んだくれであった)、自身の子どもにそんな名前をつけないでしょう。

マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』

植物のハックルベリーの方なんですが、これは、「小さくて、重要でないベリー」ということです。でも、実際には、多くのハックルベリーが動物にも人間にも食べられています。人間の口に美味しいのもたくさんあります。ただ、「小さい」ベリー(のような果実)を十把一絡げに「ハックルベリー」と呼んでいるために、ハックルベリーとだけ言えば、一体どのベリーのことなのかわからない・・・

ハックルベリーと呼ばれる植物は、ツツジ科(Ericaceae)で、2属に渡ります。以下は、例です。black「黒」だの、blue「青」だの、同じような名前が・・・

Gaylussacia(和名はないもよう)
Black huckleberry「黒いハックルベリー」Gaylussacia baccata
Blue huckleberry「青いハックルベリー」Gaylussacia frondose
Bear huckleberry「クマのハックルベリー」Gaylussacia ursina

Vaccinium(スノキ属)
Black huckleberry「黒いハックルベリー」Vaccinium membranaceum
Blue huckleberry「青いハックルベリー」Vaccinium deliciosum
Red huckleberry「赤いハックルベリー」Vaccinium parvifolium

ところで、ここまでが、前置きなんです。すみません。

どうか、もう一度、冒頭の画像をご覧ください。これは赤い実で、ハックルベリーのうちの Red huckleberry「赤いハックルベリー」Vaccinium parvifolium です。

この 「赤いハックルベリー」は、画像で見えるように、ベリーが小枝の下にぶら下がってつきます。次の画像もご覧ください。実の色は、濃いオレンジ色から真っ赤なのまであります。大きさは、6〜10ミリ。丸い葉っぱがかわいいです。細い枝が微妙にくきくきと曲がっています。

2021.07.08撮影

「赤いハックルベリー」はうちには何本かあるのですが、実は、わたしは花を見た、という記憶がない・・・庭にある花が咲けば、大抵は写真撮影するのですが、撮りためた写真のどこにもない。

それで、英語版Wikipedia(日本語版Wikipediaには記載がありません)にお世話になることにしました。以下のリンクをクリックしてウィンドウを横に拡大してくださると、画像が細かいところまできれいに見えます。この記事の画像自体もいいし、画像を使っての画面構成もすごくいいと思いますので、ぜひ、ご覧になってください。

Vaccinium parvifolium(英文+画像)

左下のピンク色の目立つ Fresh leaves and buds(新葉と「ツボミ」)に、わたしはまず目が行きました。え? あのピンクのがツボミだった? いやいや、この英語の buds というのは「花のツボミ」ではなく、「葉のツボミ」のことだろう。

赤い実は見慣れているので、特に見る理由もなく、次には、画像が5枚並んでいるうちの右上の画像を見ました。Blossoms(咲いている花)ですって? これが〜〜???? これ、見たことあるけど、実の若いのだと思っていた。花だなんて思わなかった。

それでも疑い深く調べ続けると、次の記事の上から5番目の画像でも、こんなやや赤みがかった緑っぽい花が出てきました。

Red Huckleberry

これが「赤いハックルベリー」の花だったのか。何年もお付き合いしてきた「赤いハックルベリー」の花を今まで知らないとは、恥ずかしい。見ているけれども、見ているものが花だとは理解していなかったんだ。今は実の季節なので、花との正式な対面は、来年の春まで待つしかありません。

わたしの住むカナダのブリティッシュ・コロンビア州では、「赤いハックルベリー」は、ちょっと山手に入るといくらでも生えています。木全体、枝、葉のつき方、など、姿は優しく美しいです。大きいのは4メートルにも達し、夏に山歩きをすると、山道の両脇に生えているのから頭上に枝が差しかかるのが涼しげです。

2021.07.08撮影

高度にもよりますが、7月初旬には、もうベリーが赤くなります。そうすると、つまんで食べてみる人も多いんですが、酸っぱいんです。やはり、このベリーも、野生のクマさんや鳥さんたちに残しておきましょう。

ブルーベリーはクマさんもお好き

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温暖化よね、イチジクがこんなに取れるのは

2022年08月24日 07時14分39秒 | 果物、実、タネ
2022.08.21撮影

上の画像に写るイチジクは、今年2番目の収穫。昨日は、ブラックベリー収穫の2日目で、イチジク収穫はしなかったので、今日はイチジクの収穫をしないと熟れすぎて、落っこち始めるかもしれない。

わたしの住むバンクーバーでは、イチジクは、青い実はいくつもいくつもつくのですが、果実の生育が止まる気温にまで下がるのが比較的早いからでしょうか、あ〜あ、あんなに鈴なりなのになあ・・・でも、堅そうだなあ・・・ということになります。この、木に残ったままの青い実が、冬の長雨に当たり、気温が摂氏0度付近をうろうろすると、全部ではありませんが、カビたり腐ったりします。

でも、今年の夏は、例年よりイチジクの熟す速度が速いような気がします。それはなぜ? やっぱり温暖化だと思うんですよね。このまま暖かさ(註:「暑さ」ではない、でも、ここでは「暑い」と言うけれど)が維持されれば、今年は、長めの収穫時期が期待できる?

アメリカ合衆国農務省(USDA)の発行する、植物が必要とする最低気温(hardiness)で地域分けした地図がありますので、ご覧ください。地図の左下は、ハワイ州とアラスカ州、右下はアメリカ統治下にあるプエルトリコです。


Hardiness Zone Map
作成者:USDA-ARS and Oregon State University (OSU)
撮影日:2012.08.25
パブリックドメイン

この地図は、地域ごとの長期に渡る最低気温の平均を統計に出し、それに基づき、植物が耐えられる寒さの限界で、地域を分けたものです。「華氏10度ごと」に14区域(ゾーン)に分け、ゾーンをさらにふたつに分けて、低い温度の方を「a」、高い温度の方を「b」、としてあります。寒い方から、「0a」「0b」「1a」・・・「13a」「13b」、と続きます。これらのそれぞれのゾーンを、Plant Hardiness Zone と言うのですが、なんと訳せばいいでしょう、「植物最低耐寒域」?

カナダもこれにならい、地図を発表しています。カナダ自然資源省(英語:Natural Resources Canada、フランス語:Ressources naturelles Canada)が、担当(カナダは、英語とフランス語が公用語です)。

アメリカ農務省の地図とは色の使い方が異なります。そして、表記が「摂氏」になっています。アメリカの使う「華氏」から、カナダの使う「摂氏」に計算し直してあるので、中途半端な数字になっています。

この地図は、カナダ政府が著作権を持っていますので、ここに画像でお見せすることはできません。以下は、カナダの自然資源省のサイトにある、最低耐寒気温の地区分けです。クリックで開かないかもしれませんので、その折には、アドレスをコピペでお使いください。


これらのゾーン(地域分け)が、いつとは定かには知らないのですが(かなり調べたけど、わからなかった、2012年? 2018年? 2021年?)、書き換えられたのです。

ブリティッシュ・コロンビア州なら、地図を拡大して、地域を特定して調べられるサイトがありました。


バンクーバーは、海沿いが「9a」、多くの地域が「8b」、限られた地域で「8a」となっていました。バンクーバーって、前は、「7b」と言われていたんですよね。以下で、「摂氏」での最低気温をご覧ください。

Zone 7 (-17.8 〜 -12.2)
Zone 8 (-12.2 〜 -6.7)
Zone 9 (-6.7 〜 -1.1)

このゾーン表記は、植物のラベルのほとんどになされています。ですから、それを手がかりに、この夏だけしか楽しめないかな、越冬させられるかな、とか、これは楽々越冬するね、とか、考えながら、植物を求めます。

この前、植物屋さんで見かけたものがあります。カキ(次郎柿)の40センチほどのヒョロヒョロくん。バンクーバーでカキを見事に成らせている人がいるのは知っているんです。温暖化でカキも育てやすいか、と、ふらっと手が出そうになりましたが、やめました。「桃栗3年、柿8年」と言います。実がつくようになるまでそんなに待てるか? いや、待てない。待てないだけでなく、すでにある果物だけで幸福である。

では、今日のイチジクの収穫に、庭へ出ます。

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ブラックベリー地獄は、まだまだ続く

2022年08月23日 10時30分06秒 | 果物、実、タネ
2022.08.21撮影

昨日、苦行の末、ブラックベリーを300粒収穫し、洗って冷蔵庫へ入れました。その地獄絵巻は、以下の記事で詳細にご報告しました。


その300粒のうち、30粒だけをお皿にもったのが冒頭の画像。小皿は NIKKO の Double Phoenix。上縁の一番開いたところで約14センチの洋風小皿です。これを夜中に食べることにしました。重労働をしたわたしへのご褒美です。それに、ブラックベリーは、どんどん食べるしかないのです。

このお皿、大好きだなあ、なんて思いながら写真を撮っていたんですが、

* ムシが苦手な方は、次の画像2枚は飛ばして本文だけお読みください。*

ちょっと、何か白いものが(下の画像2枚の真ん中あたり)・・・確実に動いている(2枚の画像中では、体の向きが異なります)ので、ムシに違いない。それも、形と動き方からしてハエの幼虫、はっきり言うと、ウジムシ(だろう)。長さ、3ミリ程度。

2022.08.22撮影

2022.08.22撮影

げ? こんなものを食べるのか? しばし考えました。でもね〜〜、ムシなんて、わたしたちが気づかないだけで多くの生鮮食品にくっついているんだと思うんですよ。そして、なんでも「衛生にする」ようになる前は、ムシを知らずに食べていて、そのムシも栄養にもなっていたのかもしれない。ほら、おサルさんもムシ食べますし。

それで、食い気の優っているわたしは、ムシをひとつずつ取って食べることにしました、いや、ブラックベリーの方を食べるんです、ムシの方を食べるのではなくて。ブラックベリーをひとつずつ全ての角度から眺め回して、それから口に入れました。30粒のうち、ムシがいたのは3粒だけ(「だけ」ではなく「も」?)。

これが昨晩のことで、このように生で食べ続けて、食べきれなくなったところで、また、ムシ検査をしながらジャム作りに移りましょう、と思いながら寝ました。

そして、今日。陽が少しかげってきてから、また地獄へ行ってきました。

手に引っかき傷を作りながら実を摘むのですが、今日は、その辺りを観察する気持ちの余裕がありました。見渡してみると、ムシが結構いる。ウジくんだけでなく、シャクトリムシくんらしきムシさんも、緑のアブラムシさんたちも(画像、ありません、カメラを地獄に持っていかなかったので)。

そして、見たくなかったのは、ウジくんの親でしたね。ハエさんがいる、ということは、その子孫がいる、ということで、「ウジムシだろうな」から、「ウジムシである」に判定が変わりました。やっぱり、これだけ甘いものがあったら、誘われて、ハエさん、やってくるのよね、と思いました。

今日は、200粒収穫。昨日取り残したのと、今日取る時間までに熟れたのがあったのです。今日の収穫分は、下の画像。上縁の径が19センチほどの底が丸いサル、あ、違った、ザルです。

2022.08.22撮影

わたしはムシ類はかわいいと思う方なんですが、ウジくんを食べるのはやっぱりなあ・・・直接の被害はないとは思いますが、気持ちのいいものではありません。

300 - 30 + 200 = 470粒ものブラックベリーを、これからどうすればいいのだ。そして、これからも取れるんだ。「木熟」で実が崩れやすいので、容器に入れ替えする回数はなるべく少なくしたい。それでも、次にうちに来る人にさしあげよう。ウジくんと対面しても平気な人なら。

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ブラックベリーの収穫作業は、地獄の苦しみ

2022年08月22日 15時25分55秒 | 果物、実、タネ
2022.08.21撮影

ついに地獄のブラックベリーの日が来ました。ブラックベリー収穫の日です。これ以上遅らせるとトンデモなくなる、と、まずは、恐ろしいものを見に行きました。今年は、ブラックベリーを全く剪定せずに伸ばし放題にしたのです。やっぱりどえらいことになっていた、知ってはいたけど。庭のその部分が通行不能になって、もうだいぶん経ちます。

本日は、「ブラックベリー収穫作業・地獄の苦行編」を一部始終お見せします。どうか、最後までおつきあいくださり、わたしの苦しみを分かち合ってやわらげてくださいませ。

まずは、重装備から。長袖のブラウス、くるぶしまであるパンツ、しっかりしたスニーカー、頭をスカーフで整え、そして、メガネ類とマスクが重要です。荒い表面の葉っぱなどが顔の肌に触ると、痛く、真っ赤に腫れます。目に入ると大変です。

準備ができたら、ブラックベリー地獄の入り口へ。上の画像で真ん中に太めの茎がニョキニョキと出ていますが、これが、画像右側に6メートルほど伸びてアーケードを作ったようになっています。その太い茎の垂れたうちのひとつが、次の画像。トゲをお見逃しなく。

2022.08.21撮影

地獄門を通るには、まず、この伸び切った茎を切ります。ハサミじゃダメですよ。長い取手のついたのでバサッとやります。その切り取ったうちの根に近い方が、次のもっと恐ろしい画像。これらのトゲが、このブラックベリーが野生種であることの証でもあります。

2022.08.21撮影

伸び切った枝を取り払って、「たたき」が見えるようになると、うわ〜〜、ブラックベリーが〜〜いっぱい落ちてる〜〜。この数だけ食べなかった、ってことよね〜〜(画像に写っているのは、ほんの一部)。もっと早く収穫するべきであった。

2022.08.21撮影

収穫は、地獄門の上の方から始めます。冒頭の画像をもう一度ご覧ください。薄茶色のものがモジャモジャっとしただけで、実のついていないものがありますね。それが、ベリーが、わたしに断りなく勝手に落ちた、揺るがない証拠です。門の上は、楽勝だった。

次に、今度は、勇気を奮って、上から押さえ込むようなアーケードの中に入り込んでいきます。画像からはそんなにベリーがあるようには見えませんが、実際には、見えないところににもベリーがなっているのです。身をかがめて、手を伸ばして取るのですが、つまみとると、その振動が伝わって、他の熟れた、最高に美味しそうな実がぼたぼた落ちるのです。これで、1〜2割はなくしました。

2022.08.21撮影

アーケードの裏側にたどり着いた時には、汗、トゲ、ベリーのお汁、と・・・なんでここまでして食べなきゃあかん?

2022.08.21撮影

結局、裏側全部は摘みきれず、明日にすることにしました。ブラックベリーを摘むと、裸の枝は次のようになります。

2022.08.21撮影

さあ、片付けようと思ったら、やっと痛みに気づきました。トゲが指先に刺さっているわ〜〜〜ん。これ、ちっちゃいトゲ。ベリー摘みって、手袋をつけてはできないんです。手で熟れ具合を探り、熟れ過ぎは捨て、ちょうどいいのだけ収穫します。トゲを取り去ると、血がぷくっと出てきました。

2022.08.21撮影

ブラウスがこんなになっちゃった。家に入ってすぐに水洗いし、石けんをつけて、もみ、それでは色が落ちきらなかったので、さらに洗濯機にかけたら、きれいになりました。

2022.08.21撮影

今日の収穫は、300粒。つぶれやすいので、さっとだけ水洗いし、ザルに上げたところが、これ。直径25センチぐらいの平底のザルです。今冷蔵庫に入っています。

2022.08.21撮影

「木熟」なのでよく熟しています。すぐ食べなくては。食べきれないのでジャムになるでしょう。明日も収穫しなくてはならないし。

「木熟」考 —言葉の省略をめぐって

ブラックベリーのトゲについては、以下の記事も、よろしければどうぞ。


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イチジクと、イタリア人のおじいちゃまとの思い出

2022年08月21日 12時53分17秒 | 果物、実、タネ
2022.08.19撮影

わたしの庭(カナダ西海岸、バンクーバー)で、今年初のイチジク(イチジク属 Ficus)が実りました。例年より遅いです。おととい気づいて、昨日、取り入れる直前に、脚立に登って撮影しました。

ひとつではなあ、もうひとつあればおやつになるなあ、と思って見渡すと、もうひとつありました。これは、先のほど熟れていないけど、お腹の事情で、これも摘み取ることにしました。

2022.08.19撮影

摘み取ったのはいいけれど、考えましたね。お腹に素直に従うべきか、あるいは、今から冷蔵庫に入れて冷やし、後でもっと美味しくしていただくか・・・今回は理性が働き、このイチジクふたつは、朝食の一部ではなく、午後のおやつになりました。わたしの独り占めで。

バンクーバーにはイタリア系移民とその子孫がかなりいて、イチジクの植わっている家は、と言えば、イタリア系が多いです。あるいは、中国系。イタリア人は、祖国でイチジクを食べているのだと思います。中国系の人々は、野菜づくり、果物づくり、など、とにかく食糧生産に励む人が多いです。

イチジクは、この辺りでは、主に2種類育てられていて、果実の色で区別して、一方は「緑の」、もう一方は「茶色の」とか「茶紫色の」とか「紫色の」とか、呼ばれます。イチジクの原産地(地中海沿岸、アジア西部、など)から比べて寒いバンクーバーの気候に合っているのが、結果的にこの2種類だったのかもしれません。バンクーバーの人々は、イチジクを食べる人なら、たいていは、「茶紫の」方が美味しいと言います。


明言はできないのですが、「緑の」方は、紀元前1世紀にはすでにローマに存在した園芸種の Ficus carica 'Kadota' のようです。「茶紫の」方は、Ficus carica 'Brown Turkey' 。果実の外皮の黒いと言っていいぐらいの Ficus carica 'Mission' ではないようです。ちなみに、世界でイチジクの生産量の一番高いのは、トルコ(英名 Turkey)です。


わたしのうちのすぐご近所に、イチジクを大量に育てていたイタリア人のおじいちゃまがいたんですが、その人が亡くなる前には、そのおじいちゃまからよくイチジクをいただいたんです。取手付きのでっかいアイスクリームの空き容器に入れて、「緑の」と「茶紫の」とを取り混ぜて持ってきてくれたものです。たまには、そのあまり美味しくない、と言われる「緑の」しかなくて、おじいちゃまの方が恐縮しながらイチジクをくださいました。大きな粒のブドウも、時期になるとくれました。

そのおじいちゃまが亡くなる数年前、「まだ歩けるんだ、ゆっくりだけど。」と言って、イチジクの枝(1メートル近い)を数本切って、うちに持ってきてくれて、挿木にしてあげる、って。わたしは、内心、えと・・・「茶紫の」方をくれているんですか、と思いましたが、おじいちゃまがわたしに良かれと思ってしてくれていることなので、「茶紫の」であると信じる理由はあっても、疑う理由はない、と思いました。

その挿木(というか、「挿枝」という感じ)は、斜めに土に押し込むのです。挿したのは、全て根付きました。今では、3メートルの、収穫に脚立の必要な木になりました。

うちのイチジクは、木自体が成長したから実がよくつくようになっただけ、とも言えますが、食べられるまで熟す実の数は、確実に増えているんです。これは、地球温暖化のためもあると思います。気温の高めの日が続くと、実がどんどん熟れます。

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ブルーベリーはクマさんもお好き

2022年08月20日 15時41分56秒 | 果物、実、タネ
2021.06.22撮影

カナダの西海岸、ブリティッシュ・コロンビア州最大の都市、バンクーバーの周辺には、街の中心から15〜30分も車を走らせれば、山があります。冬場にはスキー場になる山々です。夏には多くの人が山歩きに訪れます。また、これらの山に入って食べられる野生の植物を探すのを楽しみにしている人々もいます。

わたしの場合は、カナダに来て間もないころは、食べられるものを探すよりも何よりも、自分が初めて見る植物を見い出すだけで喜んでいました。そして、すぐに、バンクーバー周辺には、野生のブルーベリー(Vaccinium spp.)が5種ある、と知ったのです。

「ベルベット・ブルーベリー」Velvetleaf blueberry(Vaccinium myrtilloides
「矮性ブルーベリー」Dwarf blueberry(Vaccinium caespitosum
「湿地ブルーベリー」Bog blueberry(Vaccinium uliginosum
「楕円形の葉のブルーベリー」Oval-leaf blueberry(Vaccinium ovalifolium
「アラスカ・ブルーベリー」Alaska blueberry(Vaccinium alaskaense

そして、すぐに、これらの5種が自然の中で生えているのを見つける、ということが、山歩きの時の課題になりました。そして、この5種のうち、3種までは確認したんです、実のなっているところを。「ベルベットの葉の velvetleaf」「矮性の dwarf」「楕円形の葉の oval-leaf」。それで、ほお張りました、もちろん、洗わずに。おまけに、たくさん摘んで、うちに持って帰りました。うれしかったわあ。

新鮮なうちに、と、カナダ人の友人たちにおすそ分けしようとしたら、怒られました。これらのブルーベリーは、山のクマさんたちの大切な食糧である、と。申し訳ないことをした、と思ったけど、もうしてしまったことは取り返しがつかない。ですから、野生のブルーベリー摘みをしたのは、これが最初で最後です。

栽培品種なら、今は、うちでブルーベリーを3本育てています。冒頭の画像がそのうちの1本の実がなっているところ。画像の手前側に写っている青く色づいた大きめのは、これぐらいまで熟せば食べられますが、もう数日、木で熟れさせた方が美味しいです。と言っているうちに、鳥さんたちがお召し上がりになるんですよね。さすが、うちのあたりにはクマさんは出てきませんが。

次の画像に見える、たわわの実は、まだ、硬い、硬い、実。奥の方に、別の栽培種の実が、ふたつほどですが、色づいているのが見えます。

2012.07.06撮影

次の画像のも、硬い青い実(「未熟」という意味での「青い」)。先の画像のとは種類が違うような・・・背景に見えている赤い実と赤っぽい葉は、オトギリソウ属(Hypericum)のものです。

2012.07.06撮影

もうちょっと熟してくると、次の画像のようになります。

2016.06.16撮影

指で優しくつまんでみて、果肉が押し返してくるようなら、食べごろです。次の画像の実のような感じ。画像の左後ろに見えるのは、白いのがナツシロギク(Tanacetum parthenium)。ピンクのは、多分、ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)でしょう。

2022.07.05撮影

実の熟す段階を次のように1枚の画像で示したものもあります。


元の花と言えば、下の画像のようなものでした。同じくツツジ科(Ericaceae)のエリカ(Erica)にそっくりの花ですね。

2022.05.25撮影

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