2022.04.10撮影
冒頭の画像の花は、ヘレボルス・アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)、ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)、同様、学名をカタカナにするだけなら、ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)です。
でも、もう少し絞り込んで言うと、これらは、オリエンタリスの原種ではなく、交雑種です。ですから、オリエンタリス系、といった方がいいでしょう。
そして、これらの花は、たまたまですが、開いてかなり経った花です。オシベも蜜腺も落ちています。メシベの根本もふくらんでいます。
(和名)ヘレボルス・オリエンタリス
流通名 クリスマスローズ
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
学名 Helleborus orientalis「東方のヘレボルス」
英名 Lenten rose「四旬節のバラ」
原産 トルコ、ブルガリア、ウクライナ、ジョージア、コーカサス
オリエンタリス(orientalis)というのは、この場合、「東洋の」ではなく、「東の方の」という意味です。ブルガリア、ウクライナ、は、ヨーロッパと言っても、東ヨーロッパ、トルコは、ヨーロッパの東に位置します(トルコのごく一部は、ヨーロッパ内にあります)。
英名は、Lenten rose(レンテンローズ)で、意味は、「四旬節のバラ」。Lenten というのは、Lent「四旬節」の形容詞形で、「四旬節の」という意味です。
では、Lent「四旬節」は何かと言うと、キリスト教の暦の上で決まっている、復活祭(イースター)までの40日間のことです。復活祭が毎年移動する日なので、四旬節も毎年異なります。また、教義の異なる教会によっても異なります。
カトリック教会、ルター教会、イギリス国教会、などでは、
・2021年:2月17日から
・2022年:3月2日から
・2023年:2月22日から
となっています。
ニゲルが(暖かいところでは)クリスマスに咲く、というところから、クリスマスローズ(Christmas rose)と呼ばれるのに対し、オリエンタリスは、やや春に入ってから咲く、レントのころに咲く、ので、レンテンローズ(Lenten rose)と呼ばれます。
2022.03.28撮影
日本では、ニゲルもオリエンタリスも(そして、他のヘレボルスも?)「クリスマスローズ」と呼ばれます。が、それは、流通名です。「クリスマス」という、馴染みのあり、かつ、「ロマン」のある言葉を使って、日本人の購買心をかき立てる、よく言えば企業努力、悪く言えば企業策略、です。
「レンテンローズ」と言ったのでは、日本人には、何? 「0点ルーズ」? とかになって、それじゃあ、売れませんよね。
和名としては、ハツユキオコシ(初雪起こし)、カンシャクヤク(寒芍薬)が存在するようですが、これらが、ニゲルのことだけを指しているのが、ニゲルとオリエンタリスのことを指しているのか、あるいは、ヘレボルス全般を指しているのか、あるいは、またまた、どの和名がどの種を指しているのか、よくわかりません。
「初雪起こし」とか「寒芍薬」のように美しい名前(特に、和語を使った「初雪起こし」)が存在するのに、なぜ、わたしたちは、カタカナの言葉に「ニゲル」(ゲハハ、お粗末でした)のでしょうか。
オリエンタリスの方を、「春咲きクリスマスローズ」と呼ぶこともあるそうですが、それなら、最初から、「クリスマス」なんて言わなければいいと思う。
それと、ヘレボ「ラ」スという言い方は、ラテン語の学名 Helleborus を英語読みして、それをカタカナにしたものです。あくまでラテン語にのっとればヘレボ「ル」スとなります。ラテン語は、基本、「ローマ字読み」でいいんです。(でも、「ヘレボレス」とか、つい、言ってしまいそう。泣)
2021.04.05撮影
うちには、ヘレボルス・オリエンタリスの交雑種がたくさんあります。もともと買った株の数は、せいぜい10個体ぐらいなんです。でも、それが、現在では、130株以上あります。
この、何株あるか、というのを数えるのが、また、かなり難しいんです。こぼれたタネから芽生え、近接して生えているまだ若い株は、花が咲くまで個体が区別できません。花が咲いても近似の花であったり、根本がかぶさりあったりしていると、これも、どれが1株か、わかりません。ですから、花をつけるまで成長し、かつ、はっきりと株が分かれているのだけを数えることになります。
オリエンタリスは、自由恋愛(フリー・ラブ)をして、好き〜〜に交雑種を生み出します。結果、親と同じ子どもはほぼできません。オリエンタリスは(本来は)うなだれて咲きますが、花の色、形、模様、形態、など、無限の種類があります。(オリエンタリスを育てている人は、これにハマっちゃうんだよなあ〜〜)
とにかく、花が咲いてみないとどんな花かわからない。ですから、植物屋さんでも、若い株の場合は、どんな花が咲くか補償をしていません。1度咲かせてから卸したものには、写真がついていますが、そちらは値段が張ります。
実生が大量にできるのを防ぐために、花が終わればすぐに花柄を土のすぐ上で切ればいいのですが、実のできた姿も美しいので、早くに切り取ってしまいたくない・・・そして、新しい雑種が生み出されてほしい、という期待もある・・・それで、つい、タネをこぼさせてしまうことになります。
とにかく、オリエンタリスはうちの北側の庭をおおうほどいっぱいあるんです。株わけして欲しい方は、どんどんおっしゃってください。ただし、わたしが在外ですので、輸出入になります。検疫は、そちらで手配してください。
それでは、明日から、うちのヘレボルスの事始めと変遷について、お話しします。
陽気の変遷に翻弄される最近ですが、自然の流れにも何となく変わった雰囲気を感じます。
見事に咲き誇る花達、名前の割に気品さえ感じます。
時期的には、春の東京で今が盛りのバラたちを彷彿とさせられました。
時期時期に楽しく花達を愛でられる幸せというものは、場所を問わず同じだと思います。
写真を撮る楽しみも倍加することでしょう。
わたしは偶然ヘレボルスに出会ってしまい、そして、うちの庭がヘレボルスに合っていることを発見してしまい、幸せな状況です。