──いためつけたい。蹴りたい。愛しさよりも、もっと強い気持ちで。
レベルの低い周囲と合わせるのが嫌で、
教室で自ら孤立している高校1年生の女子・長谷川初実(ハツ)と、
同級生で同じくハブられた半ば引きこもり男“にな川”の2人の物語。
にな川はオリチャンという雑誌モデルの大ファンで、
彼女に実際に会ったことがあるというハツに強い興味を抱き、
会った場所を聞き出すためにハツを自宅に招待する。
===
何を今更という感じだが、
読んでた時間返せと思った『さくら』の反省を生かし、今回はちゃんと賞を受賞した=プロに認められた作品を選んだ。
予算の都合でブックオフの100円コーナーから選出したため微妙に昔の作品だが、
120万部も売れた“事件”として歴史に刻まれているれっきとした第130回芥川賞受賞作品であることは周知の事実。
これなら間違いないと思った。
で、読んでみた。
※以下、本格的なネタバレです。
「え、これで終わり?」と思った。
140ページ(※単行本版のページ数)もあってハツとにな川の関係は何も進展しない。
物語の終盤を3行で説明すると、
オリチャンは所詮アイドルで、どんなに近づいても手を伸ばしても届かない存在であることを知ったにな川、絶望。
それを見たハツ「ざまあw」
終了
え? って感じ。
ハツをオリチャンのライブに誘ったにな川の心境は?
それをOKしたハツもまんざらではないのでは?
にな川のハツへの気持ちは最後まで不明のまま終わり、
ハツはにな川のことを「愛しい」ではなく「蹴りたい」という気持ちで締めている。
この解釈は読者に委ねるということなのだろうか。
さっぱり意味不明な当方が出した結論は「まあハツがドSということで」(マテ
そしてハツと絹代も……かつての親密な仲を取り戻そうで、取り戻せずに終わる。
絹代もハツの同級生で、中学時代の親友でもあるのだが、今はハツよりも他の女子グループと話すことが多い。
ハツは絹代の笑顔が“好き”で、絹代も自分のグループにハツを勧誘するほどなので別に仲が悪くなったわけではない。
絹代と二人きりでいたいハツと、レベルの低いグループを優先する絹代。
中学時代に親密だった2人の間には微妙な壁が出来ていた。
そして、絹代も交えて3人でライブを見に行き、にな川の家に2人が泊まることになった時のこの流れ。
>「にな川が(オリチャンに近づこうとして)怒られちゃったのは哀しかったけど、こんなふうに
>泊まって話せたりして楽しかったね。あー、今日のこと、早くみんなに話したいなあ。」
> 暗闇の中に絹代の言葉が浮いて、ぼうっと光る。みんな。そうか、今こんなに近くで話
>しているというのに、絹代にとっての世界は、私やにな川ではなく、彼女のグループの
>“みんな”なんだ。長い夏休みは私の絹代の間にさらに距離を生むだろう。そしてその夏
>休みの先に続く、ひたすら息苦しい二学期。
そう、2人の間の壁は最後まで取り除かれることはなかった。
というか、140ページに些細な、でも色々な出来事がありながら、結局何も進展していないのだ。
にしても、孤立するハツの描写はあまりにもリアル。綿矢氏の実話ですか? と疑いたくなるぐらい。
しかし、描写はリアルなのだが、ハツというキャラクターが微妙に非現実的で共感できなかった。
陸上部所属で男みたいな太もも。
無印良品のコーンフレーク売り場で、周囲の視線をよそに全種類試食して朝食代わりにするのが“日課”。
ファッションに全然興味がなく、ライブの日の服装は“虫取り網が似合いそう”。
男勝りにしても無理があり過ぎないか?
それとも昨今の男たちはこういう女性に萌えるのか?(んなのドーデモイー
とまあナンダカンダ言っても表現が面白かったし、
140ページという圧縮された容量のおかげで無駄に長い『さくら』(約400ページ)の時のような退屈感を味わわずに済んだし、
要は「面白かった」です(ナンジャソリャ
レベルの低い周囲と合わせるのが嫌で、
教室で自ら孤立している高校1年生の女子・長谷川初実(ハツ)と、
同級生で同じくハブられた半ば引きこもり男“にな川”の2人の物語。
にな川はオリチャンという雑誌モデルの大ファンで、
彼女に実際に会ったことがあるというハツに強い興味を抱き、
会った場所を聞き出すためにハツを自宅に招待する。
===
何を今更という感じだが、
読んでた時間返せと思った『さくら』の反省を生かし、今回はちゃんと賞を受賞した=プロに認められた作品を選んだ。
予算の都合でブックオフの100円コーナーから選出したため微妙に昔の作品だが、
120万部も売れた“事件”として歴史に刻まれているれっきとした第130回芥川賞受賞作品であることは周知の事実。
これなら間違いないと思った。
で、読んでみた。
※以下、本格的なネタバレです。
「え、これで終わり?」と思った。
140ページ(※単行本版のページ数)もあってハツとにな川の関係は何も進展しない。
物語の終盤を3行で説明すると、
オリチャンは所詮アイドルで、どんなに近づいても手を伸ばしても届かない存在であることを知ったにな川、絶望。
それを見たハツ「ざまあw」
終了
え? って感じ。
ハツをオリチャンのライブに誘ったにな川の心境は?
それをOKしたハツもまんざらではないのでは?
にな川のハツへの気持ちは最後まで不明のまま終わり、
ハツはにな川のことを「愛しい」ではなく「蹴りたい」という気持ちで締めている。
この解釈は読者に委ねるということなのだろうか。
さっぱり意味不明な当方が出した結論は「まあハツがドSということで」(マテ
そしてハツと絹代も……かつての親密な仲を取り戻そうで、取り戻せずに終わる。
絹代もハツの同級生で、中学時代の親友でもあるのだが、今はハツよりも他の女子グループと話すことが多い。
ハツは絹代の笑顔が“好き”で、絹代も自分のグループにハツを勧誘するほどなので別に仲が悪くなったわけではない。
絹代と二人きりでいたいハツと、レベルの低いグループを優先する絹代。
中学時代に親密だった2人の間には微妙な壁が出来ていた。
そして、絹代も交えて3人でライブを見に行き、にな川の家に2人が泊まることになった時のこの流れ。
>「にな川が(オリチャンに近づこうとして)怒られちゃったのは哀しかったけど、こんなふうに
>泊まって話せたりして楽しかったね。あー、今日のこと、早くみんなに話したいなあ。」
> 暗闇の中に絹代の言葉が浮いて、ぼうっと光る。みんな。そうか、今こんなに近くで話
>しているというのに、絹代にとっての世界は、私やにな川ではなく、彼女のグループの
>“みんな”なんだ。長い夏休みは私の絹代の間にさらに距離を生むだろう。そしてその夏
>休みの先に続く、ひたすら息苦しい二学期。
そう、2人の間の壁は最後まで取り除かれることはなかった。
というか、140ページに些細な、でも色々な出来事がありながら、結局何も進展していないのだ。
にしても、孤立するハツの描写はあまりにもリアル。綿矢氏の実話ですか? と疑いたくなるぐらい。
しかし、描写はリアルなのだが、ハツというキャラクターが微妙に非現実的で共感できなかった。
陸上部所属で男みたいな太もも。
無印良品のコーンフレーク売り場で、周囲の視線をよそに全種類試食して朝食代わりにするのが“日課”。
ファッションに全然興味がなく、ライブの日の服装は“虫取り網が似合いそう”。
男勝りにしても無理があり過ぎないか?
それとも昨今の男たちはこういう女性に萌えるのか?(んなのドーデモイー
とまあナンダカンダ言っても表現が面白かったし、
140ページという圧縮された容量のおかげで無駄に長い『さくら』(約400ページ)の時のような退屈感を味わわずに済んだし、
要は「面白かった」です(ナンジャソリャ