<「広瀬すずinなつぞら」PHOTO BOOK―連続テレビ小説「なつぞら」 (TVガイドMOOK 12号) >
芋子「やってしまいましたねえ」
小野「ああ、やってしまったな」
芋子「私はただ、第5週までの名場面を振り返りたかっただけなのです」
小野「僕はただアニメ制作の現場を見たかっただけなのに」
2人「まさか番組の最後に壮大なネタバレがあったとは」
<特別番組で起きた悲劇>
芋子「読者の方は何のこっちゃだと思いますので、説明いたします」
小野「4月の下旬に朝ドラの特別番組『まだ間に合うなつぞら』が放送された。30分番組で、内容は主に朝ドラ『なつぞら』第5週までの名場面集と、OPアニメの制作現場を取材した映像の2本立てだった。その模様はNHKオンデマンドで今なら無料で視聴できるので、先日拝見したわけだが……」
芋子「名場面集は、私たちが再三感動したと言っている24話のラストシーンも含めて見ごたえのある映像になっていました。まあそれまでの積み重ねがあって初めて感動を得られるものですから、そこだけ観ても……とはなりますが、今そのツッコミは置いておきましょう」
小野「アニメ制作現場の取材映像もリアルで良かったね。大体知っていたことだけど、タブレットでコンテや原画を描いたり、影を追加するテクニックなど、驚かされることもあった」
芋子「それらをも上回る最大の見所は、アニメーターの仕事の基礎を学ぶ広瀬すずさんのドキュメント映像です」
小野「役を演じる為に実際に学んだわけだ。ドラマや映画の撮影においてそれは普遍的なことだけど、その様子にカメラが密着することは珍しいんじゃないかな」
芋子「そんな感じでNHKの取材力に脱帽しながらその特番を観続けていたら、ラスト3分で悲劇が起きました」
小野「『この先の展開を少しだけお見せします』と前置きしてからの壮大なネタバレ集だよ。あれ、ひょっとすると、2~3ヶ月くらい先の放送分まで見せちゃったんじゃないかな」
芋子「少しどころじゃなかったですね。あのネタバレを観てしまったあとだと、第6週の感想をいくら語ろうが無意味に感じます」
小野「まあ、それでも語るんだけどね」
<絶対に観るべき31話>
芋子「第6週は東京編の続きから始まります」
小野「31話はすごかったね。まさか東京編のラストにこんな神展開が待っていたとは」
芋子「天陽君の兄・山田陽平がアルバイトで勤務しているアニメーション制作会社になつが潜入し、動画を5枚くらい描く体験をします」
小野「前述の特番を観れば分かるが、その動画は実際に広瀬さんが描いたものだから、リアル感があって良いよね」
芋子「特番では実際に身体を動かして薪を割るイメージをしていましたが、ドラマ本編でもなつ本人による薪割りのイメージ映像がカットインされるなど、現実とリンクさせています」
小野「放送日は5月6日、つまり連休最終日で高視聴率が見込まれるから、NHKもここぞとばかりに本気を出してきたね(事実、31話は21.1%と前回の19.4%よりも1.7ポイント上げてきた)。とにかく31話だけでも観てほしい」
<なつと天陽の映画デート>
芋子「32話で季節は夏から冬に飛びます。そして翌33話はいよいよなつ×天陽の映画デートです」
小野「『ファンタジア』はディズニーの長編アニメーションとしてはまだ3作目となるかなり古い作品。なつの感想で『あんな風に音楽を表現できたり』と言っていたけど、『くるみ割り人形』や『魔法使いの弟子』など8曲のクラシック音楽からイメージした物語をアニメで表現したものらしく、これに影響されクリエイターの血が騒いだ人も少なくないのだとか」
芋子「私達も何とかして観てみたいですね。もうレンタルしていなさそうですけど」
小野「観た感想は改めて語るとしよう」
芋子「そして、映画の本編に感動したなつの余韻覚めやらぬ中、スクリーンには『東洋映画』の新作アニメ制作発表と人員募集のCMが映し出されます」
小野「あのCMはクドかったね。使える予告映像が完成していないから、制作現場の映像と社長の熱弁で誤魔化しただけ(笑)。『白蛇姫、制作開始!』なんて宣伝されても、今の時代なら『ああこれ、6年は公開されないパターンや』と冷めた反応になるだけだろう」
芋子「シャ○トの悪口はそこまでです」
小野「その『白蛇姫』だけど、なつが演劇をした『白蛇伝説』と関係がありそうだよね。後者は倉田先生のオリジナル作品だけど、わざわざ同じワードを出してきたわけだし」
<分かりきった答えをどうやって導き出すか>
芋子「どのみち、なつがアニメ業界への興味を更に深く抱くきっかけとなる重要なデートでしたね。さて物語は、照男と天陽のスキー対決を経て、なつと泰樹の絆にヒビが入ります」
小野「泰樹は『なつに牧場を継いで欲しいから照男と結婚すべき』、照男は『なつと天陽が相思相愛なら山田家に嫁ぐべき』、天陽は『なつは帯広を離れて夢を追いかけるべき』と、それぞれ意見が異なっているね」
芋子「果たしてなつの選んだ答えは3つのうちどれなのでしょうか!? 第7週に続きます」
小野「いや答えはもう分かりきっているんだけどね。ネタバレ特番を観た僕等はもちろん、それ以外の視聴者もほぼ全員分かっている。だから36話の喧嘩シーンも茶番に見えてしまうんだよ」
芋子「答えを導き出す過程が気になります。柴田家、何より泰樹のもとを離れる決断を、なつには簡単に下せないでしょう。夢と家族、そして天陽との間でも揺れ動くなつ。暗雲が立ち込めた矢先、なつは吹雪の中で倒れてしまいます」
小野「これで次週予告が流れるのかと思いきや、最後になつが謎の家で目を覚ますシーンに切り替わってホッとしたよ。週末に視聴者を不安にさせない配慮をしてくれるのはありがたい」
芋子「次週予告ですけど、なつがビンタされていましたね。コンプラが厳しい今の時代でもそういうのやるんですね」
小野「広瀬すずさんに暴行したら僕が許さないよ。いつでもクレームの電話入れるからな」
芋子「まあ、弱めのビンタでしたけどね」
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