※壮大なネタバレがあります。
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主にTBSとテレビ東京の番組をネット配信する『Paravi』が初月無料なので試しに加入し、連続ドラマ『中学聖日記』を今更ながら全話視聴した。
誤解しないでいただきたいのは、当方はこの作品、間違いなく感動した。高校生編で多少の中だるみはあったものの、最終話まで観ればそれも無駄ではなかったと思っている。
教師と生徒、それも未成年という禁断の恋を、地上波で全国放送、しかも22時という子供も観ている時間枠でPTAの魔の手からどう逃れるのか、その結末は興味深かった。そして迎えた最終話、末永聖先生は誓約書にサインをするというクレーム回避の決断を下した。
誓約書というのは、黒岩昌の母・愛子の代理人の弁護士が聖に渡したもので、『聖が今後一切晶と連絡・接触しない』と誓う為の書面だった。日付と署名を記入すれば、愛子が警察や教育委員会への訴えを取り下げるという、聖の決断が迫られる重要なアイテムである。サインしたということは、昌とは二度と会えないことを意味する。理由は「黒岩君にとって大事なのは未来」だから。昌はその後の観覧車のシーンで「聖ちゃんに幸せになって欲しいからもう会わない」と応える。
そこで終わりにしても良かったくらい感動したが、本当のラストシーンは5年後。
バンコクで日本語学校の講師をしている聖のもとに、23歳になった昌が現れ、誓約書を聖に返し、夕陽をバックに笑顔で見つめ合う2人をラストカットに物語は幕を閉じる。
このラストシーンだが、調べていくうちに本当の意味が隠されていることを知り、衝撃を受けた。
お気づきだろうか。誓約書に印刷された「平成」と「年」の間に、聖は「2018」と書いた。西暦ではなく「平成」の2018年であれば、遥か遠い未来に効力を持つことになるので、2018年だろうが5年後の2023年だろうが、余裕で二人は会うことが出来たというギミックだったのだ。
もちろん聖は天然で間違えた可能性が高いが、結果的にこの伏線が5年後に二人を再び結びつける重要なファクターになっていたことに鳥肌が立ち、カタルシスを得られた。
しかし、問題はここからだ。再びParaviにアクセスし本編を観返すと、問題の誓約書のシーンに「平成」は印刷されておらず、ただの「2018年」になっていたのだ。どうやらネット配信版では修正されたようなのだ。元々当方は細かいことを気にしない性格ではあるが、ギミックそのものが改変されているのなら当然気付くはずもない。
なぜ余計な改変をしたのか理解に苦しむ。ちなみに通常版もディレクターズカット版も同様の改変が見られた。それなら2パターンを配信する意味も無いではないか。せっかくParavi自体は魅力的なサービスなのだから、せめて重要なギミックだけは可能な限りTV放映版と同じにしていただきたい。多くの視聴者は本編を観た後にSNSで感想や考察を共有し合うまでがセットなのだから。
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