先週からの続きで、アンプの音質改善です。前回は電源の改造だったので、今日は、増幅部を触りました。
このアンプで一番気になっているところは、帰還用に使っているトランジスタです。どの部分かというと、下記回路図の初段の6ES8ののプレート側についているトランジスタ”2SC2568”です。
このトランジスタは、音質にもろに影響します。あくまで経験上ですが、このトランジスタが高温にさらされ続けると、劣化し音質がものすごく悪くなります。以前、T-55のダイナミックカップリングで定電流回路により初段から終段まで直結する回路を載せましたが、この回路は、出力段のカソード電位が高くその部分に定電流回路を持ってきているのでものすごく発熱します。この回路にも同じように初段にトランジスタを介してフィードバックを掛けていたのですが、あまりの高温によりすぐに音質が劣化していました。原因を特定するのに時間がかかりましたが、このトランジスタを新品に変更すると音質ががらりと変わり、音が生き生きします。しかししばらく使っていると本当に焼けたような音になり、ドンシャリの無残な音になってきます。
この経験があったため、本アンプの音の劣化もこのトランジスタを疑いました。同じ回路とシャーシを使用した以前の回路は、300Bのアンプでしたが、謎の発熱がある旨記載しました。この時、恐らく高温にしばらくさらされていましたので、徐々にトランジスタが劣化したものと思います。
早速トランジスタを交換。この2つを取り外して差し替えです。ちなみに音質が劣化しているだけでHFEは製作当時と交換後でも変化はありません。
こういうこともあろうかとトランジスタとの接続はコネクタにしていますので、交換はらくちん。
あと、原因不明の発熱の件ですが、原因が判明しました。前回の電源の交換で分かったのですが、犯人はチョークコイルだったようです。チョークを使用しなければシャーシが熱くなることはなくなりました。このチョークは13H 150mAの容量があるのでプレート電流を60mA程度で使用すれば、300Bでも大丈夫かなと思っていたのですが、電流容量がぎりぎりだったのでちょっと無理があったようです。はずしてから気が付きました。
さて、これで音質確認しましたが、かなり改善されました。
さらに改善を図ります。他に気になるところは、上記回路の6ES8です。この部分の球も音質に影響します。ここを変えると音に張りが出たりそうじゃなかったりといろいろ。
そこで、いろいろな球を差し替えて確認してみました。
候補は、6DJ8系のμが30程度の球と6AQ8系のμが60程度の球の2種類です。
6DJ8系が、6DJ8、7308、6BQ7A
6AQ8系が、6AQ8、6DT8、ECC812です。
差し替えて良かったのが、6AQ8系の球でした。この3つともよかったので、あまり使用機会がなかった下記写真のECC812を使用することにしました。
ECC812という球については、資料がほとんどなくあまりよくわからないですが、恐らくはTV用のチューナ部分に使用される球ではないかなと思います、6DJ8もカスコード接続でVHFチューナに使用されますので、ここに挙げた球は大体同じ用途向けに開発されたものと思います。そういう意味では6DJ8が特にオーディオ用にもてはやされていますが、6BQ7も6DJ8の前身としてもっとオーディオ用に使用されてもいいのでは、と思ったりもします。
ということで、球を決定後、アンプの調整を再び。
良さそうな出力波形を確認後、音質確認しましたが、音質にも張りが出て結果は良好。
さて次週もオフ会があり、この音質改善したアンプで臨みたいと思いますが、出力管をUY-510Bでいくかどうかを悩み中。510Bだとエミッションがもうあまり出ないのか、ちょっとくたびれたような感じの音になるかなと。オフ会にはいつも魔物が潜んでいますのでしばし考え中です。
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