木曽Now2

木曽の自然と大阪の自然を日記風に

アカバナユウゲショウ 種子散布

2019-06-20 07:53:11 | 日記

大阪アメダス    今朝の最低気温  21.6℃   昨日の最高気温  29.1℃   天気  晴れ
開田高原アメダス  今朝の最低気温   8.3℃   昨日の最高気温  20.4℃

アカバナユウゲショウの花は
ご存知の方が多いと
思いますが
種子はどうでしょう?


花が終わると
種子まで見ないと
言われる方が
多いのでは
ないでしょうか。


群生地で
不思議な光景を
見つけました。


長細い果実が
できていましたが
先の膨らんだ部分に
種子がくっついています。


また茎の中ほどにも
種子が引っかかるように
ついています
どうしてでしょう?


実は
アカバナユウゲショウの果実
面白い種子散布をするので
紹介します。


大阪はいまだ
梅雨入り宣言が
出ていませんが
この時期の雨によって
果実が開き
種子を雨とともに
まき散らします。


一株いただいてきて
水を一滴たらして
実験をしましたので
ご覧ください。


カメラを構えて
左手で水滴を垂らして
シャッターを切りました。


果実の先端に
ついた水が
しみ込み始めます。


するとどうでしょう!
果実の1片が
ゆっくりゆっくり
開き始めました。




残りの3片が
同時に開きます。




ものの5分で
全開状態です。


まるで褐色の
小さな花が
咲いたようです。


時間短縮のため
雨が止んだ状態を
再現してみました。


ティッシュで
紙縒りをつくって
水を吸い取りました。


しばらくすると
花が閉じ始めます。


ゆっくりゆっくり
閉じていきます。




開いてから
完全に閉じるまで
22分かかりましたが
自然界ではもっと
ゆっくりなのでしょう。


アカバナユウゲショウの
生育場所で
果実や茎に種子が
くっついていたのは
雨粒に流された
ためだったのです。




雨粒を利用して
種子散布することを
雨滴散布と呼んでいます。


ヒルザキツキミソウや
マツヨイグサの仲間も
雨滴散布植物です。







蜜源植物 トウネズミモチ

2019-06-19 07:37:16 | 昆虫など

大阪アメダス    今朝の最低気温  20.3℃   昨日の最高気温  26.9℃   天気  晴れ
開田高原アメダス  今朝の最低気温   6.2℃   昨日の最高気温  21.2℃

昨夜大きな地震が
ありました。
被害のあった皆さま
お見舞い申し上げます。



いったい
この一本の木で
何匹くらいのクマバチが
来ているのだろう?


木の下に立つと
クマバチの羽音で
うるさいぐらいだ。


カメラを構えていても
お構いなしに
クマバチが目の前の
花に止まる。


この木は
トウネズミモチ
ただ今満開です。






クマバチの
体を見ると
花粉だらけ
あらゆる場所に
黄色い粉が
ついている。


やってくるのは
クマバチだけではない
木の上では
アオスジアゲハや
アゲハチョウが
飛び回る。


じっと動かないのは
甲虫類
花の集まりの中に
顔を突っ込んで
夢見心地なのだろう。




ハチの仲間や
ハエの仲間も
五月蠅く飛んでいる。


梅雨入りが
遅れている大阪
この晴れ間を利用して
どの虫も
熱心に餌集めの
真っ最中だ!



ホオノキ 気難しい花

2019-06-18 07:43:26 | 日記

大阪アメダス    今朝の最低気温  18.7℃   昨日の最高気温  26.1℃   天気  晴れ
開田高原アメダス  今朝の最低気温   4.1℃   昨日の最高気温  18.9℃

毎年木曽で
ホオノキの花を
撮っている。


タイサンボクほど
大きくはないが
なかなか立派な花だ。


ホオノキは両性花で
雌しべが先に熟する
雌性先熟の花なのだ。


今年は
成熟した雌しべを
撮影したくて
雨の合間を
ずっと待っていた。


花が開いて
雌しべが熟すのは
たった1日
それも花が少し開くだけ。


花はいったん
閉じてしまい
次の日咲く時には
もう雄しべが
花粉を出し始める。


熟した雌しべを
撮るためには
1日目の半開きの
花の中をのぞかないと
撮れないと言う訳だ。


花が大きく開く時には
もう雄しべは
散り始めている。


自分の花粉では
受粉しないぞ!
と言う強い意志を感じるが
なかなか気難しい花である。


と言うことで
今年も結局
熟した雌しべは
撮れずじまい
来年に持ち越しだ。


蜜を出さず
香りだけで
甲虫などを集めても
この気難しさからか
受粉率はすこぶる悪い。


たくさん花を
咲かせるホオノキでも
実の数が多くない理由は
こんなところにもある。









ウツギ 梅雨に似合う花

2019-06-17 07:53:41 | 日記

大阪アメダス    今朝の最低気温  19.3℃   昨日の最高気温  24.4℃   天気  晴れ
開田高原アメダス  今朝の最低気温   8.7℃   昨日の最高気温  17.8℃

梅雨の時期に
似合う花は?


考えたとき
すぐ思い浮かぶのが
アジサイ
ハナショウブだろうか。


木曽に滞在中
アヤメに囲まれていたので
アヤメも付け加えたい所だ。


もうひとつ
この時期に咲く花で
忘れてはいけないのは
ウツギだろう。


この梅雨の時期
雨に打たれて
しっとり咲く
ウツギの花は
美しい。


ウツギの花は
匂わないと
昨年のブログに書いたが
甘い香りこそないが
そばに行くと
むせかえる様に
咲き誇っている。


たくさんの虫が
やって来る花だ。


「夏は来ぬ」では
卯の花の匂う垣根に
ホトトギス早も来鳴きて
忍音もらす夏は来ぬ
と歌われている。


残念ながら
卯の花の垣根も
見なくなったし
木曽では
カッコウとハルゼミの
鳴き声こそ聞いたが
ホトトギスはまだ
鳴いていなかった。








腐生植物 ギンリョウソウ

2019-06-16 07:51:17 | 日記

大阪アメダス    今朝の最低気温  19.5℃   昨日の最高気温  27.3℃   天気  曇り
開田高原アメダス  今朝の最低気温  11.6℃   昨日の最高気温  17.0℃

バケツを返したような
雨が降ったり
薄日がさしたりと
目まぐるしく
変わる天気の中
無事大阪に
帰りました。
今日明日と
開田高原の散歩で
写した写真です。



(菩提寺PAからの虹 2019.6.15 17:40)

この梅雨の季節
開田高原の
薄暗い林の中を
歩いていると
花を咲かせている
ギンリョウソウに
出会います。


漢字で書くと銀竜草
文字通り真っ白で
植物の緑色は
どこにも見当たりません。


ギンリョウソウは
葉緑素を持たないため
光合成をしません。


いわゆる
腐生植物と
呼ばれています。


以前から
この植物は
知っていましたが
落ち葉や枯れ枝
動物の死骸などを
養分にして
生きていると
思っていました。


もう10年ほど
経つでしょうか
とある観察会で
腐生植物
ギンリョウソウは
カビやキノコを食べて
暮らしているのだと
教えてもらいました。


ギンリョウソウは
根に侵入してきた
カビやキノコの菌糸から
直接栄養を
吸収しているのだそうで
目から鱗です。


落ち葉や枯れ枝を
分解する
カビやキノコの上前を
はねていたのです。


普通の植物と
同じように蜜を出し
虫によって
受粉します・


できた果実は
ボールのような形で
鬼太郎の目玉おやじ
そっくりです。




果実が倒れて
種子をまき散らすと
考えられていましたが
最近の研究では
種子を運ぶのは
ゴキブリだと言う
報告があります。


カビやキノコの
上前をはね
ゴキブリに種子を
散布してもらう
ギンリョウソウは
何とも不思議な
植物です。









サワフタギ まだ咲いていました

2019-06-15 08:00:15 | 木曽Now

開田高原アメダス   今朝の最低気温  10.1℃     昨日の最高気温  24.4℃
木曽町新開      午前8時の気温  12.0℃     今朝の天気    雨

先日
コアジサイさんのブログ
サワフタギが
紹介されていました。


いつもの散歩道では
満開が過ぎくたびれた
花ばかりだったので
気にも留めていませんでした。


昨日久しぶりに
コース変更したら
綺麗なサワフタギの花に
出会うことができました。


まだそれほど
大きな木でなく
陽当たりの悪い沢沿いに
生育していたのが
良かったのかもしれません。


花は真っ白で
雄しべが多数あり
糸状に長く
突き出ているので
小さな花火が
集まっているようです。


沢に蓋をするように
覆いかぶさって
生育するため
サワフタギと
名づけられています。


関西で見かけるのは
タンナサワフタギだったように
記憶しています。


花の撮影をしていると
いかにも毒々しい
蛾の幼虫を
見つけました。


シロシタホタルガの
幼虫でサワフタギの葉を
食べています。



(シロシタホタルガ成虫 ネットからお借りしました)

成虫も
近くを飛んでいますが
止まるとすぐ
葉裏に回り込むので
写真は撮れませんでした。



今日雨の中
大阪に帰ります
3週間ほどの
滞在でした。






ハルゼミの合唱 開田高原

2019-06-14 08:03:58 | 昆虫など

開田高原アメダス   今朝の最低気温   7.8℃     昨日の最高気温  23.0℃
木曽町新開      午前8時の気温  14.5℃     今朝の天気    晴れ

昨日は梅雨の晴れ間
久しぶりに
気持ちの良い
一日でした。


一昨日までは
午前中なんとか
曇り空でも
昼頃から雨が降り出し
夜中まで降ると言う
パターンが
続いていました。


晴れると林の
あちらこちらから
ハルゼミの大合唱が
聞こえてきます。


急に曇って雨が
ぽつぽつ降りだすと
ピタリと鳴き声が
とまります。


晴れるとまた泣き始める
天気に合わせて
とても忙しそうです。


ハルゼミは
松林にしか住まないと
聞いたことがあるのですが
カラマツの木で抜け殻を
見たこともあるので
カラマツ林でも
生息できるのだと思います。


明け方まで
激しく雨が降り続き
散歩に行く頃
晴れ間がのぞき
ひょっとしてハルゼミに
出会えるかもと期待して
開田高原の林の中を
歩き始めました。


雨降りが続き
うっ憤がたまっているのか
どのハルゼミも
いつもより大きな声で
鳴いているようです。


雨のあとは低い場所に
止まっていることが多いので
注意しながら歩きました。


いました!
1匹目は
細い草に
止まっていました。


腹弁があるので
雄のハルゼミです。


よりにもよって
こんな細い草に
止まらなくてもと
思うぐらい
窮屈そうに
止まっています。


2匹目はちょうど
目の高さ
太いマツの幹にしっかり
止まっています。


雨に打たれたせいか
カメラを近づけても
動きません。


カメラを近づけて
しっかりモデルに
なってもらいました。


あまり近づきすぎたのか
邪魔くさそうに
木の裏側に
回り始めます。



モデル料も払わず
お礼だけ言って
その場を後にしました。







アヤメ 雨に似合います

2019-06-13 08:02:10 | 木曽Now

開田高原アメダス   今朝の最低気温   7.4℃     昨日の最高気温  18.5℃
木曽町新開      午前8時の気温  11.0℃     今朝の天気    曇り(のち晴れ予報)

信州も梅雨に入り
毎日のように
雨が降っています。


その雨に似合う花
アヤメが
咲き誇っています。


カキツバタや
ハナショウブと違い
乾燥した草原に
生えるため
拙宅の敷地内でも
たくさん咲いています。


アヤメの花は
見れば見るほど
不思議な形をしています。


外側に垂れ下がるように
広がっているのが
外花被片。


すくっと
立ち上がっているのは
内花被片で
それぞれ
3枚ずつあります。


それでは
雄しべと雌しべは
どこにあるのでしょう?


外花被片の網目模様を
おおうように
出ているのが花柱で
雄しべと雌しべは
この中に隠れています。




そっとめくってみると
中に雄しべがあり
花柱の下側に
目立たない柱頭があります。




アヤメのシンボルでもある
外花被片の網目模様は
ここに蜜があると言うガイド
蜜標になっています。


蜜を求めて
花柱の下に
潜り込んだ虫たちは
背中にたっぷり
花粉をつけて
隣りの花に
移動すると言う
仕組みです。


梅雨の時期に
花を咲かせる
アヤメにとって
雄しべや雌しべを雨から
守る必要があります。


葯と柱頭を花柱の下に
格納する花の構造は
素晴らしいと思います。


雨の多い季節に
咲く花でも
結実してしっかり
種子を残しています。





ウスバシロチョウ 強制産卵

2019-06-12 08:00:55 | 昆虫など
開田高原アメダス   今朝の最低気温   8.4℃     昨日の最高気温  20.3℃
木曽町新開      午前8時の気温  12.0℃     今朝の天気    曇り(のち雨予報)

ウスバシロチョウの雌を
ゲージに放して
産卵させようと
試みましたが
雨ばかりで
うまくいきませんでした。


そこで
強制的に卵を
産ませることにしました。


リシャール法(強制産卵法)と言って
素焼きの植木鉢など容器に
雌と食草のムラサキケマン
そして枯れ枝を入れ
網をかぶせて
蛍光灯で照らし
卵を産ませる方法です。


準備が出来たら
黒い覆いをかぶせて
一晩夜の状態を
つくります。


翌朝覆いを外して
網の上から
蛍光灯を照らします。


お昼前網を外して
確認すると
植木鉢に立てかけた
枯れ枝の下側に
産卵を確認しました。


二日かけて
二度ほどくり返し
2頭の雌から
30卵ほど
産卵させました。


母蝶はすぐに
ティッシュに含ませた
薄めの蜜を与え
放してやりました。


母蝶のダメージが
大きいと言われる
方法なので
やりたくなかったのですが
無事飛んで行ってくれ
安心しました。


さてウスバシロチョウの卵
大きさが1.5mmほどで
ゴルフボールを
押しつぶしたような
形をしています。


産みたての卵は
薄いピンク色で
とても美しい色です。


アゲハチョウや
モンシロチョウの卵と違い
複雑に彫刻されたような
模様をしています。

(モンシロチョウの卵 2019.4.12撮影)


(アゲハチョウの卵 2019.5.8撮影)

時間の経過とともに
ピンク色から
白っぽく色は
変化します。


来春のムラサキケマンの
芽吹きまで
卵のままで
暑い夏
厳しい冬を
乗り越えます。


うまく成虫まで
飼育出来たら
いいのですが・・・。






ラショウモンカズラ 毛深い鬼

2019-06-11 08:00:31 | 木曽Now

開田高原アメダス   今朝の最低気温   6.4℃     昨日の最高気温  15.154℃
木曽町新開      午前8時の気温  12.0℃     今朝の天気    晴れ(のち雨予報)

開田高原の林の中を
歩いていると
シソ科の顔をした
大ぶりな花を
よく見かける。


ラショウモンカズラと
呼ばれる花
漢字で書くと羅生門蔓だ。


羅生門は羅城門のことで
都の中央大通り
朱雀大路の南門に
あたる門のこと。


源頼光の家来である
渡辺綱が羅生門で
切り取った
鬼の腕に花の形を
見立てた名前なのだ。


どこをどう見たら
鬼の腕に見えるのだろう?
命名者の想像力に
驚かされる。


名前はさておき
鬼の腕には似つかない
とても美しい花だ。


シソ科の花としては
かなり大ぶりの花で
4~5センチは
ゆうにあるだろう。


先日紹介した
オドリコソウと同じ
唇形花で
上唇は浅く二つに
裂けている。


下唇には
濃い紫色の模様があり
無精髭のような
長い毛が生えている。


この腕の持ち主は
かなり毛深い
鬼だったに違いない。


この時期の散歩を
楽しませてくれる花だ。