グラフィックディレクター 大里早苗 ブログ

東京港区のデザイン会社、グラフィックメイトの代表を務める大里早苗のブログです。

[世界を変えた書物]展

2018-09-21 10:36:49 | 小さな会社のひとりごと
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
上野の森美術館で『[世界を変えた書物]展』が開催されています。書籍の造本設計、デザイン、レイアウトを仕事としている身としては、以前から気になっていた展示会なのですがなかなか足を運べずにいました。土曜、日曜は大変混雑しているとのことだったので、近くで打ち合わせの予定があったのをこれ幸いと、その帰りに思い切って寄ってみました。


▲[世界を変えた書物]展。上野の森美術館で開催中。

金沢工業大学ライブラリセンターの『工学の曙文庫』に収蔵されているコレクションから選りすぐりの稀覯本が展示されていました。『工学の曙文庫』の名が示す通り、その後の世界に変革をもたらした理学、工学の発展に寄与した名高き書物(しかも初版)が並んでいました。
「古代の知の伝承」「ニュートン宇宙」「解析幾何」「力・重さ」「光」「物質・元素」「電気・磁気」「無線・電話」「飛行」「電磁場」「原子・核」「非ユークリッド幾何学」「アインシュタイン宇宙」の12の系統に分けられかつ、それぞれのゆるやかなつながりが示唆された展示となっていました。
展示された書物の一例をあげると、ユークリッド(エウクレイデス)「原論」、コペルニクス「天球の回転について」、デカルト「方法序説」など。湯川秀樹さんのノーベル物理学賞受賞の元となった論文「素粒子の相互作用について」が製本されたものもありました。


▲ユークリッド(エウクレイデス)「原論」


▲デカルト「方法序説」


▲湯川秀樹さんのノーベル物理学賞受賞の元となった論文「素粒子の相互作用について」


ありがちな印象ですが、オリジナルの原書には“モノ”としてのまとったオーラを発しているようで、本という形に改めて好ましいものを感じてしまいました。ただ、そんな中にもふと思うことがありました。
展示された初版本は活版で印刷されているので、どんなに遡っても、グーテンベルグが活版印刷を実用化した15世紀以降に作られたものです。ユークリッドなどは紀元前の人ですから、それ以前の手稿本が残っていて、それを元に目の前の書物ができあがったということでしょう。となれば、オーラを放っているのは“モノ”ではなく、著者の知的営為なのかもしれません。そのエッセンスをいかに伝えていくかということなのでしょう。
印刷という技術によって、それが多くの人の手に届きやすくなったという歴史が今回の展示のテーマだったのですね。
この文章を読んでいただいているインターネットも、多くの人の手に様々なものを届きやすくした技術です。印刷物という物体から電子的な書物への変化も当然の流れなのでしょうね。
とは言え、人間の英知の集積は感動的なものでした。(それぞれの内容はほとんど理解していないのですが)

『世界を変えた書物』展の会期は9月24日までです。入場無料ですので、お時間をある方は足を運ばれてはいかがでしょう。

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