ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

東京国際映画祭/談春独演会

2007年10月20日 | Weblog
本日は映画と落語の2本立て。
東京国際映画祭も今年で20回目。そのオープニングを飾る「光影的故事」をシアター・コクーンで見る。この作品は1982に撮影された台湾の若手監督4人によるオムニバスで、もちろん目的は2007年6月29日に急逝したエドワード・ヤン監督による第2話「指望」。2000年に制作された「ヤンヤン・夏の思い出」以来新作を待ち侘びながら、結局それが遺作になってしまった。そんなヤン監督の初期の作品は、その才能の片鱗がうかがわれるすばらしい出来栄えだった。時折見られる不思議なズームは初期作品故か、それでも被写体とカメラの距離は絶妙で、なんともいえない空気感が漂っている。少女が大人の女性へと成長していく、そんな年頃の主人公に芽生えた年上の男性への淡い恋心、それが残酷な現実に破れ散る。押しつけがましさからは無縁の、感情の抑制が効いたカットで淡々と、そして繊細に描写される少女の成長、見ているこちらはとにかく切ない。そんな少女が自転車を練習するシーンは、まるでワルツを踊っているかのように優雅で美しく、特異な存在感でフィルムを彩っている。最後に、自転車にようやく乗れるようになった男の子が、まるでゼンマイ仕掛けの人形のようにぎこちなく、その小さな体と不釣り合いの大きな自転車のペダルを漕ぎながら現れるカット、衝撃的だった。ずっと押さえられていた感情の吐露が、ついにこの男の子の口から洩れる。切なすぎる。
そして名古屋へ移動。アスターミュージック主催の「第三回立川談春独演会」@今池ガスホール。
開口一番は小春で「たらちね」。談春の独演会で高座に上がれたことが嬉しくってしょうがない、そんな雰囲気が会場にも伝わってきて、つい応援したくなる。
談春は「鰻の幇間」。兜町で客を釣り上げるまでがとても速い。鰻屋に上がってから、客の住まいの所在ついてのやりとりで客がやたらと一八にからむ。トイレに立った客の不在中は一八の回想録。芸人としての心構えを説いた、死んだ師匠の言葉を反芻。それに従いトイレの客をお迎えに行くが、呼びかける前に客の不在を知る。祝儀の変わりに残されていた支払いの代金はなんと4万8千円!客は7人前のお土産と共にトンズラ。手銭とわかった一八、女中に意見。鰻は白焼→干物に形容、鰻は白くて壁は飴色、漬物はキムチ、掛け軸がみつを作、、、聞く度にアレンジが施されている。
仲入り後は「九州吹き戻し」。キノスケが100両貯めるまで、トントン拍子で展開。毎度のことながら嵐のシーンは映像がありありと浮かんでくる。海の底から湧き上がってくるうなりが聞こえてきそうだ。
今日の談春は風邪なのか花粉症なのか、鼻や目に手をやることしきり。