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夜見山北中学校の3年3組には、嘗て「ミサキ」という生徒が居た。スポーツ万能且つ優等生で在り乍ら、気さくでチャーミングな皆の人気者だったミサキが或る日急死してしまい、哀しみに打ち拉がれたクラスメート達は、卒業迄の日々をミサキが生きているかの様に過ごして行こうと決めた。ミサキの席はそのままに、朝、登校したら挨拶をし、折りに触れて皆で話し掛け・・・この美しいエピソードはしかし3組に、或る歪んだ事象を齎してしまう。
1998年春。3年3組に転校して来た榊原恒一は、何かに怯えている様なクラスの雰囲気に不審を抱いた。そんなクラスの中で、異彩を放っているのが、孤高の美少女ミサキ・メイだ。片目に眼帯を付けて何時も一人絵を描いており、不思議な存在感を持った彼女に魅せられた恒一は接近を試みるが、謎は深まるばかり。彼女は何かを知っているのか。否、彼女はそもそも何者なのか?
メイと校外某所で出会い、少しだけ彼女に近付いた気がして来た恒一。しかし事態は一向に明らかにならないまま、クラスの雰囲気は日毎張り詰めて行く。そして或る日、クラス委員の桜木ゆかりが凄絶な死を遂げた。それがまるで予想されていた事で在ったかの様に、一層怯えの色を強くする同級生達。真相を知るべく動き始めた恒一を、更なる謎と恐怖が待ち受ける。
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綾辻行人氏の「Another(アナザー)」は、「『このミステリーがすごい!』2010年版[国内編]」で3位に選ばれたホラー&ミステリーで在る。新本格派ミステリー作家の一人とされる綾辻氏。彼の「館シリーズ」は非常に好きなのだが、ホラー色の強い作品は苦手だったりする。そもそもホラー物が苦手で、その手の映画は先ず観ないし、御化け屋敷も入りたいとは思わない位だから。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock1.gif)
恒一には見えるのに、他のクラスメートは誰も見えていない様なミサキ・メイ。「この世に身未練を残した幽霊か何かか?」と思い乍ら読み進めて行くと、徐々に彼女がどういった存在なのかが明らかになって行く。常識では理解出来ない“決まり事”が支配する3年3組で、次から次に関係の在る人間が死を遂げて行く事になるのだが、その過程はなかなか読ませる。又、「“真の”キー・パーソンが誰なのか?」は見抜けたが、よもやその人物が“ああいう関係に在る人”だとは見抜けなかった。登場人物達の会話の節々にヒントが上手く隠されており、「あの不自然な会話には、そういう理由が在ったのか。」等と唸らされた次第。
「館シリーズ」程は魅了されないけれど、でも先の展開が気になる作品では在る。総合評価は星3つ。
夜見山北中学校の3年3組には、嘗て「ミサキ」という生徒が居た。スポーツ万能且つ優等生で在り乍ら、気さくでチャーミングな皆の人気者だったミサキが或る日急死してしまい、哀しみに打ち拉がれたクラスメート達は、卒業迄の日々をミサキが生きているかの様に過ごして行こうと決めた。ミサキの席はそのままに、朝、登校したら挨拶をし、折りに触れて皆で話し掛け・・・この美しいエピソードはしかし3組に、或る歪んだ事象を齎してしまう。
1998年春。3年3組に転校して来た榊原恒一は、何かに怯えている様なクラスの雰囲気に不審を抱いた。そんなクラスの中で、異彩を放っているのが、孤高の美少女ミサキ・メイだ。片目に眼帯を付けて何時も一人絵を描いており、不思議な存在感を持った彼女に魅せられた恒一は接近を試みるが、謎は深まるばかり。彼女は何かを知っているのか。否、彼女はそもそも何者なのか?
メイと校外某所で出会い、少しだけ彼女に近付いた気がして来た恒一。しかし事態は一向に明らかにならないまま、クラスの雰囲気は日毎張り詰めて行く。そして或る日、クラス委員の桜木ゆかりが凄絶な死を遂げた。それがまるで予想されていた事で在ったかの様に、一層怯えの色を強くする同級生達。真相を知るべく動き始めた恒一を、更なる謎と恐怖が待ち受ける。
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綾辻行人氏の「Another(アナザー)」は、「『このミステリーがすごい!』2010年版[国内編]」で3位に選ばれたホラー&ミステリーで在る。新本格派ミステリー作家の一人とされる綾辻氏。彼の「館シリーズ」は非常に好きなのだが、ホラー色の強い作品は苦手だったりする。そもそもホラー物が苦手で、その手の映画は先ず観ないし、御化け屋敷も入りたいとは思わない位だから。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock1.gif)
恒一には見えるのに、他のクラスメートは誰も見えていない様なミサキ・メイ。「この世に身未練を残した幽霊か何かか?」と思い乍ら読み進めて行くと、徐々に彼女がどういった存在なのかが明らかになって行く。常識では理解出来ない“決まり事”が支配する3年3組で、次から次に関係の在る人間が死を遂げて行く事になるのだが、その過程はなかなか読ませる。又、「“真の”キー・パーソンが誰なのか?」は見抜けたが、よもやその人物が“ああいう関係に在る人”だとは見抜けなかった。登場人物達の会話の節々にヒントが上手く隠されており、「あの不自然な会話には、そういう理由が在ったのか。」等と唸らされた次第。
「館シリーズ」程は魅了されないけれど、でも先の展開が気になる作品では在る。総合評価は星3つ。
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