15日にNHKで放送された「歴史秘話ヒストリア」では、「日本人女性として、オリンピック史上初の金メダリストとなった前畑秀子さん。」を取り上げていた事は、記事「前畑、前畑頑張れ、頑張れ、頑張れ。」で触れた。「メダル獲得が有力視された選手は、国民からの期待が大き過ぎて、とんでもないプレッシャーを感じる。」というのは今も変わらないけれど、大昔の日本の場合、其のプレッシャーは筆舌に尽くし難かった事が、当時の前畑さんが付けていた日記の「死すとも勝つ。」という記述から伝わって来た。
番組には長崎宏子さん、岩崎恭子さん、そして田中雅美さんという、水泳の元オリンピック選手3人が出演していた。岩崎さんは1992年のバルセロナオリンピックの競泳女子200m平泳ぎで金メダルを、田中さんは2000年のシドニーオリンピックの女子400mメドレー・リレーで銅メダルを獲得したが、長崎さんはオリンピックでメダルを獲得するには到らなかった。3人が共通して語っていたのは、国民からの大きな期待に苦しんでいた事。特に長崎さんの話は、非常に印象深かった。
彼女は、“オリンピックに関する悪夢”を何度も何度も見て来たそうだ。番組を録画していなかったので、微妙な点は異なるかも知れないが、「スタート台から飛び込もうとするが、何故か飛び込めず、焦り捲る。」という夢なんだそうだ。実際に彼女がそんな経験をしたとは思えないが、メダル獲得への余りに大きなプレッシャーが在り、そして彼女の場合はメダルに手が届かなかったという現実が、トラウマとなっているのだろう。
「何度も何度も、そういう夢を見ました。最近は減りましたが、2週間に1度位は見ますね。」と。彼女がオリンピックに出場し、メダル獲得を期待されていたのは1980年代。もう40年近く昔の事だ。なのに、今も2週間に1度位は悪夢を見るというのだから、気の毒さすら感じてしまう。
実は自分も、“決まった悪夢”を何度も何度も見て来ている。昔書いたと思うけれど、「学生時代の定期試験で、『残り時間10分!』という声を耳にしてふっと解答用紙を見ると、全くの白紙で焦り捲る。」という夢だ。「一部答えを書き切れていない。」という事は在ったけれど、「全くの白紙で、残り時間10分を迎える。」という経験は無いのに、何故か何度も何度も見る。恥ずかしい話だが、4日前にも見た。目覚めた時は、凄く疲れている。自分にとって試験は、そんなにも苦痛な思い出なのだろう。
試験程度でこんな感じなのだから、阪神・淡路大震災や東日本大震災等の大災害を経験された方々は、今も悪夢を見られているに違い無い。