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「カティンの森虐殺事件 ~米英、ソ連関与情報揉み消す」(9月13日付け東京新聞【夕刊】)
第二次世界大戦中の1940年、ロシア西部カティンの森でポーランド軍将校等2万2千人が虐殺された事件で、ルーズヴェルト米大統領とチャーチル英首相はソ連内務当局による虐殺で在るとの情報を得てい乍ら、ソ連独裁者スターリンに配慮し、真相情報を揉み消していた事が12日迄に、機密指定を解除された米国立公文書館保管の文書から判った。
カティンの森事件は、独ソ開戦後の1943年4月、ナチス・ドイツ軍が夥しい数の射殺体が埋められていた集団墓地を見付けたと発表し、明るみに出た。しかしソ連側は、虐殺はナチスの犯行で在ると反論していた。
今回機密指定が解除された文書から、米英はソ連犯行説を示す情報を1943年半ばには入手してい乍ら、ナチス犯行説を支持していた実態が判明した。例えば、同年5月、米軍情報部は事件に関して寄せられた情報に対して「ドイツの関与を示す情報にのみ関心在り。」と返答する電文を送っていた。
解禁とされた文書は約千頁に上り、米英両首脳からスターリンに送られた書簡も含まれている。此の書簡によると、虐殺事件を巡ってロンドンのポーランド亡命政府が真相究明を叫び続け、連合国内部の摩擦が増大すれば、ナチス打倒の目標が覚束無くなると米英首脳が懸念していた事も浮き彫りになった。
ルーズヴェルトはスターリンに対し、ポーランド亡命政府の調査要求は「間違い。」と断言。チャーチルも「国際赤十字による調査には断固反対する。」とスターリンに約束していた。チャーチルは又ルーズヴェルトに対して、首脳間の遣り取りの秘密を保つ為、送った文書を後で返還する様要請していた。
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ネットで検索したりしたのだが、何故か他のメディアでは報じられていない様だ。誤報という訳でも無いだろうに、こんな重要なニュースを他が報じないのは不思議でならない。
「歴史は、勝者や時の為政者にとって都合が良い様に、捻じ曲げられて伝えられる事“も”在る。」と良く言われるが、此の「カティンの森事件」も正に其の一例だろう。
「ナチス・ドイツが残虐非道な行為をしていた、許されざる組織。」なのは事実だし、「其のナチス・ドイツを倒す為には、連合国が一枚岩になる必要が在り、スターリンによる虐殺行為には目を瞑らざるを得ない。」という大義名分が米英両首脳には在ったのだと思うけれど、だからと言って「不都合な事は全て、悪の存在で在るナチス・ドイツに負っ被せ、スターリンの蛮行を闇に封じ込める。」というのは許されない事。
「自らに好ましくない文書でも、既定の期間が過ぎれば公開する。」というアメリカのスタンスは、国民の「知る権利」を尊重していると言える。こういったスタンスは、日本も見習うべき。と同時に、今回のニュースから、「報道が為された時点では、為政者にとって都合が良い様に、事実を捻じ曲げられている可能性“も”在る。」という事を、改めて認識する必要が在るだろう。