「相手の意に沿う『答え』を提示出来なかった(若しくは提示したくなかった?)。」という面は在るにせよ、アルベルト・アインシュタイン氏やトーマス・エジソン氏等、幼少期に“落ち零れ”と見做されていた偉人は、少なからず居たりする。
1月31日付け東京新聞(朝刊)のコラム「筆洗」に、興味深い記事が載っていた。2012年度「ノーベル生理学・医学賞」を山中伸弥博士と共同受賞したジョン・ガードン博士だが、少年時代の理科の成績は散々な物だったとか。イギリスの名門イートン・カレッジで、生物の成績は250人中250番。他の自然科学の成績も似たり寄ったりだったという事で、「優秀な生徒達が集まっている中」とは言え、立派な落ち零れだったのは確かだろう。
「科学者になりたい様だが、現状からすると、大変馬鹿げた考えだ。生物学の基本を学べないので在れば、科学者として働く事は望めないし、全くの時間の無駄で在ろう。」
ガードン博士が15歳の時、成績表に記されていた内容。彼は酷評された成績表を額装して、研究室の机の上に掲げ続けていたそうだ。故事成語「臥薪嘗胆」の謂れを髣髴させる話だが、酷評を失望とするのでは無く、負けじ魂にしたガードン博士は立派だ。
より簡単に万能細胞を作る方法を見付け出した、理化学研究所の小保方晴子さん。彼女が此の論文をイギリスの科学誌「ネイチャー」に投稿した所、余りにも斬新な内容だった事から、「何百年の細胞生物学の歴史を愚弄している。」という抗議のメールが届いたそうだ。
自分もそうだが、多くの人は「今の常識」に捉われてしまい、其処から食み出した物を「異端」として、歯牙にも掛けなかったりし勝ち。「天動説」が常識だった時代に「地動説」を主張したガリレオ・ガリレイは、異端審問(宗教裁判)に掛けられ、そして有罪とされてしまったが、今では「地動説」が常識となっている。