ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「踏切の幽霊」

2023年03月26日 | 書籍関連

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都会の片隅に在る踏切で撮影された、1枚の心霊写真。同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。雑誌記者の松田法夫(まつだ のりお)は、読者からの投稿を元に、心霊ネタの取材に乗り出すが、軈て彼の調査は、霊事件に纏わる思わぬ真実辿り着く
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高野和明氏の小説踏切の幽霊」を読了。彼の単行本としては、「ジェノサイド」以来11年振りの新作となる。文壇デビュー(2001年)から21年で、上梓された単行本は僅か8冊という寡作作家前作の「ジェノサイド」が非常に良かった(総合評価:星4.5個)ので、久し振りの高野作品を期待して読み始めたのだが・・・。

幽霊の正体見たり枯れ尾花」という表現が在る。「『幽霊と思っていた物が、実は枯れただった。』と、恐れられている人や物の実体が、実際は詰らない物で在る事の喩え。」だ。ネタバレになってしまうが、「踏切の幽霊」に登場する“幽霊”は“枯れ尾花”では無く、“本物の幽霊”。だから、謎解きの要素は在っても、“非合理的な物”をメイン据えている事から、現実味を感じられない読者も居られるだろう

現実味を感じられないと言えば、「刑事達が電話の逆探知、松田の家を訪ねる。」という場面もそうだ。「そんな程度の事で警察が、逆探知に動かないだろう。」と思ってしまうので。

幽霊の正体此処で言う“正体”とは、“幽霊の生前身元”。)が明らかになって行く過程其れなりに興味を湧かせるけれど、上記した“現実味の無さ”が、どうしても没頭度合い減じさせる。11年振りの高野氏の新作だが、尻窄み結末も含め、がっかりさしか残らなかった

総合評価は、星3つとする。


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