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「全国初の『空き家税』導入へ 京都市、売却・賃貸 促す」(3月24日、共同通信)
松本剛明総務相は24日、京都市が法定外税「空き家税」を創設する事に同意した。2026年以降、全国の自治体で初めて、空き家所有者に独自の税金を課す事になる。課税を避ける為の売却や賃貸を促し、市の課題となっている住宅不足を解消する狙い。
空き家の他、日常的には使われていない別荘・別宅が対象となる。別荘・別宅への独自課税は、他自治体で例が在る。京都市は現時点で約1万5千戸が課税対象と見ており、固定資産税のデータや現地調査等で特定を進める。評価額が低い家屋等は非課税。
税額は家屋の価値や立地に応じて決まり、固定資産税の半額程度となる見込み。
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総務省の「住宅・土地統計調査」によると、日本の空き家数は1988年に394万戸だったが、2018年には849万戸になった。「30年間で約2.15倍となった。」訳で、近年指摘されている様に、我が国にとって空き家問題は非常に深刻だ。
で、先日の記事「“売り”が“ネック”に」で書いたが、京都市は財政破綻の危機に瀕している。京都市と言えば“史跡溢れる雅びな都市”で在り、其れが多くの観光客を呼び寄せる売りでも在るが、長引く新型コロナウイルス感染症の影響で、修学旅行の学生達のみならず、海外からの観光客が壊滅的に減少し、観光による税収が激減。
又、固定資産税が掛からない神社や寺院等の宗教法人が多い上、人口の1割が大学生で、更に高齢者も多い事から、納税義務の在る人の割合が2021年度年度で43.5%と、政令指定都市で一番低くなっている。
そして、「“景観保全”の為、高層マンションが建てられない事から、固定資産税が多く見込めない。」という“特殊事情”も、京都市の税収に大きく影響している。「高層マンションが建てられない事が、住宅不足に繋がっている。→高層マンションが建てられない以上、住宅不足を解消するには、空き家の売却や賃貸を促したい。」という発想から、“空き家税”の導入に踏み切ったのだろうが、少し安直な気がしないでも無い。「空き家の解体費捻出や売却、賃貸が難しいからこそ、所有者は放置せざるを得なかった。」という面も在り、「空き家税を課せば、全て上手く行く。」と必ずしも言えなさそうなので。