前は鶴太郎大先生が生まれた年だった

ドラゴンズがファイターズを下して日本一を達成した。前回ドラゴンズが日本一になったのは、片岡鶴太郎大先生が生まれた１９５４年以来というのだから５３年振りという事になる。１９７４年、当時名古屋に住んでいたガキんちょの自分は、板東英二氏の歌う「燃えよドラゴンズ！」を連日の様に耳にし、又、歌っていた。生まれ乍らのジャイアンツ・ファンだが、名古屋を故郷として今も愛しているし、１９７４年当時の思い出が余りにも強いので、ドラゴンズというチームは常に気になるチームだった。それだからこそ５３年振りの日本一（或る時期迄ずっと、ドラゴンズは１９７４年に日本一になっていると思い込んでいた。）は嬉しい。ドラゴンズ関係者及びそのファンの方々、本当におめでとう！

それにしても、日本一を決めた試合がパーフェクト・ゲームというのは恐れ入った。１９５０年から始まり、今年で５８回目を迎える日本シリーズの歴史に於いて初の快挙ではなかろうか？ドラゴンズ先発の山井大介投手が８回迄ファイターズ打線を完璧に抑え、その後を受けた岩瀬仁紀投手が９回の１イニングをこれ又ぴしゃりと抑えてパーフェクト・ゲームの完成。シリーズ全体の流れ、そしてこの試合の流れを考えると記録を優先させて山井投手の続投も在り得たが、何時ものスタイルを崩さない落合監督らしい交代だったと思う。＊１落合采配の素晴らしさはこれ迄にも何度か指摘して来たが、ドラゴンズを５３年振りの日本一に導いた事で「名将」の称号を与えて良いだろう。＊２（あの御仁は歯噛みして悔しがっている事だろうが。）

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【セ・リーグ】

ジャイアンツ：　優勝回数３１回、日本一の回数２０回、日本一達成率６４．５％
ドラゴンズ：　優勝回数７回、日本一の回数２回、日本一達成率２８．６％
タイガース：　優勝回数５回、日本一の回数１回、日本一達成率２０．０％
ベイスターズ：　優勝回数２回、日本一の回数２回、日本一達成率１００％
カープ：　優勝回数６回、日本一の回数３回、日本一達成率５０．０％
スワローズ：　優勝回数６回、日本一の回数５回、日本一達成率８３．３％

【パ・リーグ】

ファイターズ：　優勝回数４回、日本一の回数２回、日本一達成率５０．０％
マリーンズ：　優勝回数５回、日本一の回数３回、日本一達成率６０．０％
ホークス：　優勝回数１３回、日本一の回数４回、日本一達成率３０．８％
ゴールデンイーグルス：　優勝回数０回、日本一の回数０回、日本一達成率０％
ライオンズ：　優勝回数２０回、日本一の回数１２回、日本一達成率６０．０％
バファローズ：　優勝回数１２回、日本一の回数４回、日本一達成率３３．３％
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日本シリーズの始まった１９５０年以降の、既存のチームの「優勝回数、日本一の回数、日本一達成率（日本一の回数÷優勝回数Ｘ１００）」を上記してみた。チーム創設から３年しか経っていないゴールデンイーグルスは別にして、ドラゴンズとタイガースの日本一達成率が３割に満たないというのは、若い人にとって意外に思われるかもしれない。近年の両チームの強さは相当な物だからだ。特にドラゴンズの場合は、昨年迄が日本一達成率１６．６％と”実質的に”１２チームで最低だったというのだから信じられない。タイガースには長きに渡った”冬の時代”が在ったが、ドラゴンズの場合はそういうイメージが無いからだ。もっと日本一になっていておかしくないチームだと思う。

そして１勝４敗で連覇を逃したとはいえ、「ファイターズは良く頑張った。」と拍手を送りたい。元名古屋人としてはドラゴンズの日本一を期待する一方で、正直に言えばファイターズに日本一を達成して欲しかったという気持ちがそれ以上に在った。別にファイターズというチームを応援している訳では無く、「レギュラー・シーズンで優勝したチームに日本一になって欲しい。」という気持ちがどうしても拭い切れなかったからだ。

誤解しないで欲しいのだが、自分はドラゴンズの日本一にケチを付けるつもりは毛頭無い。レギュラー・シーズンでのドラゴンズの闘い方は高く評価しているし、本当に強かったと思っている。日本シリーズでもその試合巧者振りを十二分に発揮し、王者の風格を漂わしていた。今季のドラゴンズの強さは評価しているものの、頭が古い人間としてはレギュラー・シーズンという長丁場を闘って得た「優勝の価値」という物をどうしてももっと評価したくなるのだ。自分がジャイアンツ・ファンだからというチンケな思いからの考えでは無く（今回ジャイアンツが出場していたら、ファイターズには勝てなかったと思うし。）、何処のチームで在ろうとも、日本シリーズはレギュラー・シーズンで優勝したチームが日本一になって欲しいという気持ちは変わらない。＊３

ところで、今年を含めた過去４年間の日本一のチームには興味深い傾向が見られる。２００３年に日本一を決めたホークスが４年振りの日本一だったのに対し、「２００４年のライオンズは１２年振り、２００５年のマリーンズは３１年振り、２００６年のファイターズは４４年振り、そして今年のドラゴンズは５３年振り。」と、長期間日本一になっていなかったチームが日本一を達成しているのだ。戦力差は度外視すると、確率的には何処のチームも日本一になる可能性は１２分の１。即ち１２年に１度は何処のチームも優勝するとういう確率になる訳だ。その意味では２００４年のライオンズがギリギリ１２年振りの日本一となるものの、総じて過去４年間は「かなり振りの日本一」という状態。そうなると来季は「１９８４年に日本一となったカープが２４年振りに、又は１９８５年に日本一となったタイガースが２２年振りに日本一達成。」という事になるのだろうか。

一旦は”御友達”の岸川勝也氏を一軍の打撃コーチに起用しようと動くも、マスメディアの批判を受けて頓挫するに到った原監督。嘗てジャイアンツで一軍打撃コーチ＆守備走塁コーチを歴任した簑田浩二氏が「当時、ジャイアンツを背負って立つ男だからこそ、打撃や守備でかなり原選手には厳しい事を言ったが、どうもそれが彼には気に入らなかった様だ。だから彼が監督をしている間は、自分にはコーチ等の御声は絶対に掛からないだろう。」と新聞紙上で書いていたが、耳障りの良い意見を言う人間ばかりで周りを固めたいという思いは全く変わっていないのだろう。原監督がジャイアンツを率いている限り、来季のジャイアンツの日本一は多分に難しいと断言する。

＊１　パーフェクト・ゲームを続けていた山井投手を８回で降板させた事に関し、批判的な意見が多く出ている様だ。確かに一人の投手でのパーフェクト・ゲーム達成を見てみたかったという気持ちは自分にも在る。山井投手としても無念な気持ちが在ったかもしれない。だがしかし、自分はこの落合采配を支持したい。プロ野球の世界は、何やかんや言っても「勝てば官軍、負ければ賊軍」の世界。「残り３つの試合で１つ勝てば良い状況。尚且つ昨日の試合は勝っていたのだから、山井投手を続投させる可きだった。」という御意見も在ろうが、日本シリーズの歴史を振り返ると一寸した事で流れが一気に変わったケースは結構在った。仮に「山井投手を続投させてピンチを迎え、慌てて岩瀬投手を送り込むも逆転負けを食らう。」といった事態になれば、第６戦以降は一気にファイターズへと流れが向かうやもしれない。そうなった場合は「何で山井投手を続投させたんだ！」という声が上がるだろうし、あくまでも”何時ものスタイル”を貫いた落合監督は決して間違っていなかったと”自分は”考える。勿論、異論＆反論が在ろう事は承知しているし、「どれが正しくて、どれが間違っている。」なんて指摘をするつもりも毛頭無い。

＊２　落合監督の能力は高く買っているのだが、ママや坊ちゃんといった家族が前面に出捲るのは何とかならないものか。亡き父から「女＆子供が職場に、ちょこちょこ電話をして来るものじゃない。」という言葉を聞かされ続けて来た者からすると、嬉しい気持ちは判るもののどうしても違和感を覚えてしまう。

＊３　今季のセ・リーグのシーズンＭＶＰは誰になるのだろうか？別段、「優勝チームから選ばなければならない。」という決まりは無いし、過去にも２位以下のチームからＭＶＰが選ばれた事も在る訳だが、その場合にはとてつもない記録を達成した場合だけだったと記憶している。レギュラー・シーズンの重みを考えた上でも、ジャイアンツの中から選ばれて欲しいもの。とは言え、「ジャイアンツでは誰がＭＶＰに相応しいか？」と問われると、「うーん・・・。」と考え込んでしまうのも事実だが。